出荷作業を効率化・改善して売上拡大する秘訣とは?大変さを乗り越えるコツ【物流現場のプロが語る】

出荷作業は改善し効率化されれば、企業の売上拡大に直結する重要な物流業務です。その反面、ミスが発生しやすく、生産性が低下しやすい業務でもあります。作業のミスや無駄が気になりながらも、なにをどう改善すればいいか分からずに放置していませんか?


今回は出荷の流れ、出荷ミスの改善方法・秘訣を解説します。本記事を読めば、業務を効率化して売上拡大につなげる策が見つかるはずです。

 

 

出荷までの流れとは?作業の工程7つ

出荷とは、商品を倉庫から注文先へと搬出する業務のことを言います。具体的にどんな工程があるのでしょうか?出荷作業の流れをおさらいしておきましょう。

注文受付

顧客からの注文を受付します。「どこに」「何を」「どれだけの数」送るかの情報を明確にまとめます。

出荷指示

注文内容がまとまったら、受注データを倉庫管理システムに入力し、管理画面から出荷の登録を行います。

在庫引き当て

倉庫内の商品に対して、出荷予約を行う作業です。リアルタイムで在庫を引き当て済みにし、在庫の数量を明確にする必要があります。在庫が足りない場合は欠品となります。この作業によって販売可能在庫数を把握できるので、欠品リスクが低減が可能です。

 

欠品について詳しく知りたい方は下記記事も参考にしてみて下さい。
欠品を防止することで通販売上アップ、業務効率化へ|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)
安全在庫とは?安全係数や欠品許容率を含めた計算方法までご紹介!|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

ピッキング

出荷指示された商品を倉庫から探し出して、取り出す作業です。商品や数量の間違いなど、もっとも人的ミスが起きやすい工程でしょう。

ピッキングにおけるミスを減らしたい方は、是非こちらの記事もご参考ください。

ピッキングミスを防ぐことで業務を最適化!|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

出荷検品

商品の数や種類に間違いがないか?また、商品に傷や破損がないかしっかりチェックします。
→ 参考記事:出荷管理ではシステム導入がカギに?出荷管理における課題、重要性をご紹介。

梱包

商品の種類によって適した材料で梱包します。例えば、

  • 割れ物はクッション性のある素材で包む
  • 緩衝材を詰め、商品が箱の中で動かないようにする

など、配送時に商品が破損することがないよう注意して行います。

発送

梱包した商品を運送業者に引き渡します。トラックに積み込むところまで終えると、倉庫内での出荷作業が終わります。

出荷の中でミスが起きやすく、課題となりうる作業

出荷作業の効率化を図るためには、ミスが起きやすい箇所を正しく把握しておき、意識することが重要です。一般的にミスが起きやすい作業を説明します。

ピッキングや出荷検品時

ピッキングや検品は出荷作業の中でもミスが起こりやすいポイントです。商品違いと数量違いの2つを解説します。

出荷時の商品間違い

ピッキングや検品を行なっている際に、商品を間違えてしまうミスは、よく発生します。同じ商品で色やサイズの展開が多い品番は尚更、注意が必要です。

 

商品の品番以外の識別コードを読み慣れていない新人スタッフは、このミスを起こしやすくなります。あらかじめバーコード番号や色番、サイズの表記など、コードやタグの読み方をしっかり説明しておくとよいでしょう

 


また、入荷時にバーコードをつけ間違えてしまうミスが起こった場合、出荷の時にシステム上の品番チェックは合っていると判断されてしまい、結果的に出荷ミスにつながります。


出荷時の数量間違いの原因と解決策を知りたい方は下記記事も参考にしてみて下さい。

箱詰め作業における数量間違いの原因と解決方法【貴社は大丈夫?】|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

 

数量の差異

「商品を2点注文したのに1点しか届かなかった」というような数量違いも発生しやすいミスです。人の目で管理している以上、こういったミスが発生する可能性は常にあると考えてよいでしょう。

 


人的ミスが起こる可能性を減らすためにも、倉庫内のロケーションの整頓・出荷ルールの徹底が必要です。

→ 参考記事:なぜ誤出荷は起こるのか?原因を解消し売上アップを実現!

 

梱包や発送時

梱包や発送時もミスが起こる出荷作業です。同梱漏れ、宛先違いについて解説します。

付属品の同梱忘れ

梱包・発送の際に付属品や説明書、広告物などの入れ忘れをしてしまうミスもよく発生します。同梱物がバーコード管理されずに、梱包台に置かれている場合、入れ忘れをしやすいです。

住所などの宛先の相違

「山田様から注文を受けた商品を、鈴木様に間違えて送ってしまった」といったことが起こった場合に考えられるのが、送り状の作成ミスです。通常は運送会社の送り状発行ソフトを使って出力することが多いでしょう。配送先氏名や郵便番号・住所、電話番号などの情報を手入力していると、ミスが発生する原因となります。また送り状の貼り間違えにも気をつけなければいけません。

 

送り状の貼り間違えミスは誤出荷に直結します。経営リスクであるクレームにも繋がりかねませんので避けたい事象です。

出荷作業ミスで起きうるリスクとは?

出荷におけるミスは、十分な経営リスクになります。具体的なリスクを紹介していきます。

企業イメージの低下

物流におけるミスは、企業の信頼および企業イメージの低下につながります。
「注文した商品と違うものが届いた」という経験をした会社で、もう一度商品を買おうとは、誰も思いませんよね。「物流がしっかりしてない会社」とレッテルを貼られてしまわないように、出荷作業は正確に、スピーディーに行わなければいけません。

個人情報の漏洩

発送時における送り状のミスは、まさしく個人情報の漏洩に当てはまります。企業として責任問題にもなりかねないので、注意が必要です。

 

参考:うっかり情報漏洩をしてしまった時の対応方法について (boxsquare.jp)

在庫差異による過剰在庫や販売機会の損失

ピッキングで商品の種類や数量を間違えた場合、それは後々の在庫ロスにつながります。在庫があるのに、なくなったと思い多めに発注をかけてしまう過剰在庫や、あるはずの在庫が倉庫になかったという販売機会の損失は利益が減ることに直結します。

常にリアルタイムで、在庫数を正しく把握できる仕組みづくりが重要です。

 

適性な在庫管理率を知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
→ 参考記事:在庫回転率とは?適正在庫を保つための方法をご紹介。

お詫びの連絡をする際の手間

出荷ミスはお客様からのクレームとなって返ってきます。

お詫びの連絡をする際には、顧客の気持ちに寄り添って対応するスキルが必要となり、カスタマーサービスに長けた人材を配置する必要があるでしょう。クレームを起こすと、評判面の経営リスクになるだけでなく、人件費面も圧迫することとなってしまいます。

 

またお詫びの品を同梱するといった、手間とお金がかかるので、ミスが起きないようにすることは重要です。

 

 

誤出荷を起こしてしまった際の報告書の書き方を知りたい方は下記記事も参考にしてみて下さい。
【すぐ使える文章例付き】誤出荷が起きてしまった際の報告書の書き方は?|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

出荷作業を改善するメリット

次に改善に時間を割いてまで、出荷業務を見直すメリットを解説します。

同じ作業人員で出荷対応が可能な量を増やせる

出荷作業を改善すると、1人あたりで一度に対応できる量を増やすことができます。
繁忙期に出荷量が増加しても、作業人員を増やさず対応できる物流現場であれば、出荷量が増加した分、それは全て利益につながります。

出荷作業人員を削減し、販売促進業務に注力できる

出荷作業にあたっていた人員を減らし、その分の人員を販売促進や営業など売り上げに直結する業務に配置できます。そもそもの商品販売数を増やしやすくなるので、会社の売上拡大につながります。

出荷業務を改善するための10のコツ

出荷作業を効率化するには各工程、いろんな視点から小さい改善を繰り返さなければなりません。ここでは改善のための10のコツを解説します。

改善のコツ1.出荷作業にかかる時間を把握し、人員を配置

出荷作業の改善には、現状を把握し、適切な人員配置をする必要があります。現場任せの運用では、過剰な人員の投入、あるいは作業怠慢も生みかねません。反対に出荷量に対して、作業者が少なすぎれば、無理が生じ、出荷ミスも起こりうるでしょう。作業の工程ごとにかかる時間を記録し、出荷量によって適切な人員の確保ができるよう整えましょう。

改善のコツ2.マニュアルを作成して、運用する

業務の平準化は出荷作業の改善に必須です。そのため、マニュアルの作成が欠かせません。新人やスポットのスタッフに必ずしも、つきっきりで指導に当たれる人がつける訳ではありません。それぞれが違う手順で作業を進めていては、非効率的です。

 

マニュアル作成の一時的な工数はかかりますが、それでも後々にもたらされるメリットの方が大きいでしょう。属人化されがちな出荷作業には、マニュアルによる手順の見える化が、全体の作業時間短縮に効果的です。

改善のコツ3.作業スペースをしっかりと確保する

保管スペースと作業スペースを明確に分けるのも、出荷作業の改善にあたります。
ピッキングした商品を持ってくる作業スペースが、物で溢れていたり、商品棚の中の商品と混ざりやすい環境であったりすれば、、当然ミスは発生しやすいですよね。検品・梱包がしやすい作業スペースをしっかり確保することが大切です。

改善のコツ4.ロケーション管理を実施する

商品の保管スペースに住所をつけるのも、改善のポイントです。いわゆる、ロケーション管理ですね。商品棚のラベリングの仕方を工夫したり、似た商品の型違いは違う色のシールを貼ったりと、視覚的に商品が紛らわしくないような工夫が必要です。誰が見ても分かりやすいように、倉庫内を整理整頓しましょう。

改善のコツ5.適正在庫の保持

自社商品を管理する倉庫での出荷作業改善には、適正在庫の保持も有効です。
過剰な在庫を持ちすぎれば、整理や棚卸しに無駄な時間が取られます。保管スペースが限られている場合には、作業導線の確保にも影響するでしょう。多すぎず、少なすぎず適切な在庫を保持し、常に効率的に出荷作業が行えるよう配慮しましょう。

 

関連記事:安全在庫とは?安全係数や欠品許容率を含めた計算方法までご紹介!

改善のコツ6.保管方法の再検討

以下のような保管方法の再検討も出荷作業の改善につながります。

  • ラックの導入による、縦の空間の活用
  • 仕切りや引き出しの利用による保管スペースの無駄削減

ピッキングしやすいスペースをフル活用することで、結果的に効率化になります。

改善のコツ7.ABC分析による作業導線・ロケーションの見直し

ABC分析による、商品保管場所の見直しも効果的です。よく出荷がある商品を分析し、作業導線上、手前の位置に配置しましょう。移動距離が短くなり、作業時間の短縮が期待できます。一方で、あまり荷動きのない商品は手の届きづらい場所や導線上遠くに配置しても、出荷作業の効率にあまり影響しません。

改善のコツ8.作業ツール置き場の見える化

作業ツールの置き場所を明確にするのも出荷作業改善に有効です。大きなものではハンドリフトや台車、小さなものでは梱包に使用するテープなど、「使おう」と思ったときに迷わずに手に取れる環境を作りましょう。看板や仕切りで置き場所を見える化します。また使用後は必ず置き場に戻すルールを徹底しなければなりません。

改善のコツ9.バーコードやスキャナーの導入

バーコードやスキャナーなどのツールを導入することで効率が上がり、ミスを防ぎ、劇的に出荷作業の改善につながります。
人の目で在庫数を数えて、伝票や移動指示書の手入力を行なっている場合、人的ミスが発生する可能性は非常に高いです。また出荷量が多いときには、目視で膨大な時間がかかるところ、データ読み込みなら圧倒的に少ない時間ですみます。在庫管理アプリ「ロジクラ」はスキャナーの代わりにスマホを利用し、バーコードが読み込めます。リアルタイムで在庫の増減をシステムに反映することも可能です。

関連記事:現場が語る、バーコード導入のメリット・デメリット|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

Excelを用いた在庫のバーコード管理について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみて下さい。
バーコードを活用した在庫管理をエクセルで行うには?|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

改善のコツ10.在庫管理システムの導入

出荷作業の改善には、自社の物流に適した在庫管理システムを選ぶことも重要です。出荷指示の誤りや在庫差異は現場スタッフのストレスになります。その都度、棚卸しを行っていては、現場の士気も下がりかねません。適切な在庫管理システムの導入は、物流現場でのミスや事故の低減にもつながります。またリアルタイムの在庫情報を倉庫・営業店・本部など、全部署で正しく把握するためにも非常に効果的です。

 

参考記事:在庫管理とは?そのメリットやよくある課題の解決法をご紹介。|在庫管理大学|在庫管理ソフト「ロジクラ」 (logikura.jp)

出荷業務を実際に在庫管理システム(ロジクラ)で改善した事例

 

昨今では、デジタル化がますます進み、EC市場の急成長が始まっています。事業が拡大し、商品の出荷数が増えれば増えるほど、現場は疲弊しミスが発生しやすくなるものです。1人あたりでこなせる出荷数の上限を上げるためにも、使いやすい在庫管理システムを導入して、作業の効率化をはかることをおすすめします。

 

実際に在庫管理システムを導入したことで出荷件数が4倍になった事例も存在しています。ロジクラの在庫管理システムでは、お手持ちのIPhoneのアプリを使って、ペーパーレスで在庫管理業務を行うことができ、出荷業務の大幅な効率化にも役立つ在庫管理システムです。アプリに無駄な機能がなく、誰でもすぐに使えるので、まだ作業に慣れてない新人スタッフや日本語の読み書きに不安がある外国人スタッフでも、直感的に迷うことなく作業が行えます。

 

作業をシンプルに簡単にすることがミスをなくすことにつながり、時間の有効活用や顧客満足度の向上が期待できますので、是非一度ご検討をしてみて下さい。

アフターコロナを見据え、今やるべきEC・物流対策とは?

新型コロナウイルスの影響で、EC業界にはどんな影響があった?アフターコロナでの事業の変化に備えて、EC・物流担当者は今何をやるべき?

在庫リスク分散に備えた物流対策やOMO・オムニチャネル対応などご紹介いたします。
1. 新型コロナによる通販・EC市場への影響
2.市場の変化から生じるニーズの変化
3.対策①:OMO・オムニ進行 〜小売店舗・卸のEC化〜
4.対策②:在庫リスク分散トレンド 〜フルフィルメントの併用〜
5.対策③:在庫リスク分散トレンド 〜3PLの併用〜