
在庫回転率とは?適正在庫を保つための方法をご紹介。
在庫管理する際の目安になる「在庫回転率」とは、1年間に在庫が何回入れ替わったかを表す数値です。適正在庫を保つ目安になる、在庫回転率の計算方法や在庫回転率を適正に保つための方法を紹介します。
目次
在庫回転率とは?
在庫回転率とは1年間のうちに、在庫が何回入れ替わったかを表す数値です。
在庫回転率の数値が高いものは、頻繁に在庫が入れ替わっていて、入荷から出荷までの期間が短いことを意味します。反対に数値が低すぎる場合、在庫期間が長いことを意味していて、管理のためのコストがかかっている状態です。
在庫は企業にとって資産ですが、なるべく早くお金(売り上げ)にすることが目標です。在庫回転率が低い商品が多いと資金繰りが悪化しているとも言えます。
在庫回転率を参考に、欠品しない程度に最小限に抑えた在庫数である適正在庫についても考えてみましょう。
在庫が少ないと、欠品により売り上げのチャンスを減らす可能性があります。お客様には、商品数が少なく、今後継続して購入が難しい商品・企業に見えてしまうリスクもあるのです。しかし、在庫数が多いと在庫管理のためのコストや在庫中の経年劣化による処分費用もかかります。
上記のどちらのリスクもない状態が適正在庫です。
在庫回転率の求め方
在庫回転率は次の式で求めることが可能です。コスト計算や決算のためには金額を使って計算することが多いですが、今回は適正在庫を知るための回転率を求めたいので、商品個数で計算します。
- 在庫回転率 = 売り上げ個数 ÷ 平均在庫個数
- 売り上げ個数……期首在庫個数 + 当商品仕入れ個数 − 期末在庫個数
- 平均在庫個数……(期首在庫個数 + 期末在庫個数)÷ 2
例
- 期首在庫個数……120
- 当商品仕入れ個数(年間)……1410
- 期末在庫個数……100
売り上げ個数 = 120 +1410 - 100 = 1430
平均個数 = (120 + 100 )÷ 2 = 110
在庫回転率 = 1430 ÷ 110 = 13
上記の例でいうと、1年間で13回転したことになり、入荷から1ヶ月経たないうちに出荷されていることがわかります。在庫回転率は年間で計算することが多いですが、全ての数字を月間に変えることで月ごとの在庫回転率を求めることもできます。
コスト計算のために金額で在庫回転率を計算する場合は、売り上げは販売価格ではなく原価で計算する点に注意してください。
在庫回転率を見る際のポイント
適正な在庫回転率は業種により異なりますが、目安は12~23程度です。これは月に1回以上2回以下で在庫が回転していることを意味します
回転率が6程度と低い場合、2ヶ月在庫しているということです。
在庫回転率が低い場合:商品が売れていない
回転率が低い理由の1つとして、商品が想定していたほど売れていないということが考えられます。購買層にうまくアピールできていない可能性があり、改善が必要です。
在庫回転率が低い場合:在庫を抱えすぎている
在庫を抱えすぎている場合も回転率は低くなります。
在庫を多く抱えている主な理由
- 欠品が怖い
- 需要に、時期的な波があるため
これらが理由で常に多めの在庫を抱えている場合は、在庫管理をしてそのときに合った在庫数にしておくのがお勧めです。
在庫回転率が高すぎる場合:在庫切れを起こす可能性も
在庫が高頻度で入れ替わっているということは、入荷してもすぐに出荷しているということです。何かの原因で入荷が遅れたり、予定以上の出荷があると在庫切れを起こしてしまう可能性があります。欠品は売り上げのチャンスを失うことなので、在庫数を見直して回転率を適正数値まで下げるのがおすすめと言えます。
なぜ適正在庫を保つのが重要なのか?
適正在庫を保つとは、必要な時に必要な量の品を必要なところへ届けるために準備をしておくということです。その目的を紹介します。
欠品を防ぐ
在庫管理を適正に保つ大きな目的は、欠品を防ぐことです。欠品は販売のチャンスを逃すことなので、企業の収益に直接関係してきます。また、欠品が多い企業はお客様からの信頼を得られないだけでなく、お客様からクレーム・信頼失墜に繋がりかねません。在庫管理をして需要予測をし、在庫回転率をコントロールすることで欠品を未然に防げます。
欠品防止に関して、詳しく知りたい場合はこちらの記事をご覧ください
過剰在庫による無駄を防ぐ
欠品を恐れるあまり多めに在庫している場合もありますが、過剰在庫があると次のような無駄があります。
- 多すぎる在庫を保管するためのスペースや光熱費、人件費
- 在庫中に経年劣化した商品の処分費用
欠品で売り上げのチャンスを逃したくないと言う気持ちはわかりますが、コストカットのためには過剰在庫は避けた方がよいです。
在庫回転率を上げるための方法とは?
在庫回転率を上げる方法を2つ紹介します。
在庫回転率の目標を決める
在庫回転率の目安は既に紹介しましたが、業種ごとに適正な在庫回転率が違います。業種の特性を踏まえて目標在庫回転率を決め、管理が行き届くようにするのがおすすめです。
目標在庫回転率は同業種の状況を事前にリサーチし、参考にしながら設定します。目標在庫回転率を決めたら、「在庫回転率の求め方」で示した式に回転率と売り上げ個数を入力し平均在庫数を計算してください。
同時に売り上げを下げている不良在庫についても考えます。不良在庫のなかでも経年劣化による品質の低下は、在庫回転率をあげて管理を徹底することで減らすことが可能です。
在庫管理を正確に行い、高頻度で確認する
在庫回転率をアップさせるためには在庫管理を正確に行うことが大切です。正確な在庫管理とは、入荷から出荷までの全ての流れを正確に行うことを指します。在庫管理のルールを守ることが大切ですが、特に注意したいポイントは以下の通りです。
- 入荷時の検品を確実に行う
- 先入れ先出しの徹底
- 正確なデータ入力
入荷時に確実な検品を行うことで、入荷の時点での不良在庫を作らないのが目的です。入庫前であれば、責任の所在は相手側か配送業者にあることを証明可能です。
在庫の先入れ先出しが徹底できないと長期間在庫される商品が出てしまい、経年劣化による不良在庫が生まれてしまいます。倉庫を整理し、どこに何があるのかをわかりやすくする、ロケーション管理をしてください。
また、正確なデータ入力ができていないと、正しい在庫回転率を計算できなくなってしまいます。特に人為的なミスが起こりやすいので注意が必要です。棚卸を頻繁に行い、在庫管理のルールが守られているか、数値は正しいかを確認してください。
その上で在庫回転率を高頻度で確認し、在庫の動きを把握しながら回転率をあげられるように目標数値を見直します。
「正しい在庫管理は大変」、「適正在庫を維持するのが難しい」と感じているのなら、在庫管理システムを使うことを検討してみてください。在庫管理システムでは入荷や出荷の日時や格納場所情報などを管理できます。在庫数が多い場合は業務の効率化を図ることもでき、管理コストの削減も可能です。在庫の動きが見える化できる為、需要予測も立てやすくなります。
まとめ
在庫回転率とは年間で何回、商品が入れ替わったかを表す数値です。在庫回転率は高い方が良いのですが、あまりに高すぎると欠品の可能性が出てくるので業界ごとの水準を目安に回転率を調整してください。
社内だけでは在庫管理がうまくいかないと感じるのなら、在庫管理システムの導入も検討してみましょう。在庫管理システムでは入荷から出荷までの在庫の動きをデータで管理することで業務の効率化を測り、需要予測をしやすくします。適正在庫を保つための1つの方法としておすすめです。
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