【2022年最新】化粧品ECの課題と業界大手のマーケティング施策を6つ紹介!

 

化粧品ECは「実際に手にとって試したい」需要から、EC化率が低く推移している分野のひとつです。しかし新型コロナウィルスの流行を契機に利用者は伸びており、大手化粧品会社も新しいデジタルマーケティング施策を続々と取り入れています

 

当記事では化粧品ECの市場規模をチェックしたうえで、課題を明確にし、最新のマーケティング施策や事例を紹介します。化粧品ECの変革期を確実に捉えていきましょう。

 

 

化粧品ECの市場規模と推移・動向

化粧品全体および化粧品ECにおける市場規模は、ここ数年今までにない推移を見せています。まずは市場を読み、今後の需要について考えてみましょう。

 

化粧品市場全体の市場規模における推移

化粧品の市場規模

引用元:化粧品市場に関する調査を実施(2021年):矢野経済研究所

 

2020年、化粧品全体の国内市場は売上が一時落ち込みました。原因はコロナ禍における以下の影響です。

 

  • 実店舗の休業
  • メイクをする機会の減少
  • 旅行客によるインバウンド需要の消失

 

その後2021年以降、外出およびメイクの機会も徐々に増え、市場規模もゆるやかに回復傾向にあるものの、完全に市場規模が戻るのには時間がかかりそうです。

 

 

化粧品ECの市場規模とEC化率

化粧品のEC化率

引用元:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました|経済産業省

 

化粧品ECは他物販ECと比較して小さい市場規模にとどまっていますが、毎年伸び続けています。EC化率においても2019年の6.00%から2021年は7.52%に上昇。

 

化粧品全体の市場規模が揺らいでいるのに対して、2021年も微増している結果や企業努力の動向からみて、今後も化粧品ECは伸びていくとみられます。

 

 

化粧品ECの課題|ECサイトでの購買が進まない理由

化粧品EC化率は伸びているとはいえ、かなり低い数値で推移しているのも事実です。ここでは、化粧品通販が浸透しない理由と課題を紐解いていきます。

 

実店舗での購入ニーズが高い

化粧品のEC化大きく進まない一番の理由であり、クリアしなければならない課題は、実店舗での購入ニーズの高さです。

 

化粧品は基本的に「使ってみなければ合うかわからない」商品。百貨店や専門店では、スタッフにカウンセリングを受けながら実際に商品を試せるため、失敗のない買い物ができます。ドラックストアでも試供品が無数に置かれており、手軽に試せます。

 

色や使用感がわかりづらいECサイトより、実店舗を選ぶ購買層は多いでしょう。

 

価格が安い化粧品が多い

数百円で購入できるプチプラコスメが多いことも、EC化の課題です。単品で購入し、送料が上乗せされると割高になってしまいます。

 

ある調査ではECサイトから化粧品を購入する理由として「実店舗より安く購入できるから」という意見が2番目に多い27.9%を占めています。

 

化粧品のEC化は一定金額以上の商品に向いているとも言い換えられます。

 

Webマーケティングが難しい

化粧品ECにおけるWebマーケティングの難しさも課題として挙げられます。自社ECサイトを立ち上げて、競合になるのは人気の高い大手ブランドであり、化粧品業界はいわゆるレッドオーシャン市場です。広告費は高騰しており、コストがかさみます。

 

一方で広告費を抑える方法として、Google検索結果の上位に口コミサイト(アフィリエイトサイト)を表示させる方法があります。しかしこれも現在のアルゴリズムでは、Amazonや楽天、化粧品公式サイトが上位表示される仕組みになっており、アフェリエイターの力を十分に活かせません。SNSやモールの口コミ機能を上手に活用していく必要があります。

 

 

化粧品ECの売上をアップするマーケティング戦略

ライブコマース

では化粧品ECで売上を伸ばしていくためには、どのような戦略を取ればよいのでしょうか。

 

ここでは化粧品業界大手各社が行っている最新の施策を紹介します。購入やECサイトへの動線として掛け合わせることで効果を発揮します。

 

1.ユーザーレビュー

化粧品ECにユーザーレビューは欠かせません。ある調査では「ECサイト利用者がもっとも重視する情報」として約半数が「口コミ」を挙げたという結果が出ています。

 

商品の感想だけでなく、性別・年代・肌のタイプの情報なども含めた顧客が化粧品の購入を検討しやすいユーザーレビュー機能をECサイト構築時に導入すると良いでしょう。

 

ECサイト構築前であれば、アットコスメやLIPSなど化粧品特化の口コミサイトを活用するのも手です。

 

2.ライブコマース

ライブコマースとは、ライブ配信アプリやSNS上でライブ配信を行い、その場でオンラインから商品の販売をする手法です。

 

テレビショッピングとは異なり、配信中のチャットを通じて相互コミュニケーションができます。化粧品ECの場合、販売員やインフルエンサー、タレントが配信者として出演します。リアルタイムで質問に対して回答したり、共感や提案をしたりといった交流を通じて、対面接客が苦手な顧客にもアプローチできるのも魅力です。

 

写真だけでは伝わりづらい化粧品の使用感や質感も、配信者を通じて伝えていくことができます。クーポン配信やライブ配信限定割引などの促進販売も可能です。

 

ライブコマースについて以下の記事で詳しく解説しています。

ライブコマースの始め方徹底解説!【保存版】​

【保存版】ライブコマース事例6選!(国内及び海外事例有)

 

 

3.オンライン接客

オンライン接客とは、主にZoomやGoogleMeetなどのビデオ通話ツールを通じて、顧客と販売員の1対1でオンラインカウンセリングをする手法です。

 

店舗が遠い顧客や非対面を求める顧客に対して、きめ細やかな接客ができます。単にECサイトから購入するケースと比較して、対面さながらの接客ができるため、購入率の向上やアップセル・クロスセルを促せる戦略です。

 

4.メイクシミュレーション

店頭で化粧品を試す代わりに取り入れている企業が多いのは、バーチャルメイクシミュレーションです。現実の画像に映像などを重ね合わせることができるAR(拡張現実)の技術が用いられます。

 

ファンデーションやリップ、アイシャドウなど気軽に色合いを試せるため、実際のタッチアップより「挑戦」できる利便性もあります。メイクのトータルコーディネイトを通じて、客単価アップも可能です。

 

5.肌診断

AI(人工知能)を活用した肌診断も化粧品ECの販売促進戦略として、精度を上げて取り入れられています。

 

顔を撮影した写真から、AIにより肌の状態を解析。シワ・シミ・うるおいなど蓄積された印象データをもとに、おすすめの化粧品を提案します。自宅にいながらパーソナライズな体験を提供できます。

 

6.チャットサポート

LINEやチャネルトークなどを用いたチャットサポートは、化粧品ECで一般的になりつつあります。EC構築サービスShopifyと気軽に連携できるチャットサービスもあり、購入履歴にもとづいた接客も可能です。

 

営業時間を区切った有人のチャットと無人のチャットボットがあります。疑問の解決だけでなく、美容相談や専門知識の共有も実店舗に近い形で積極的に行われています。

 

 

2021年度化粧品ECサイト売上ランキングと施策事例

 

日本流通産業新聞の調査により2021年度実績の化粧品通販売上高ランキングが発表されました。ランキング順位と共に、化粧品業界の名だたる大手の具体的な施策事例を紹介しましょう。

 

1位.資生堂

化粧品ECサイト売上ランキング1位は資生堂です。

  • 売上高(百万円) 1,035,165
  • 増減率(%) 12.4

資生堂のECサイト「watasi+」は日々、コンテンツを拡充しています。

  • 肌診断・眉メイク診断
  • ビデオ通話・電話・LINEからのオンライン相談
  • 情報コンテンツ
  • バーチャルメイク
  • ライブコマース

最新の施策に取り組み、オンラインでも化粧品選びにワクワクする買い物体験を提供しています。

 

2位.ファンケル

化粧品ECサイト売上ランキング2位はファンケルです。

  • 売上高(百万円) 42,758
  • 増減率(%) ▲3.2

ファンケルはオウンドメディア「FANCL CLIP」に注力し、顧客のファン化を強化しています。メディア内では直接商品に繋げるのではなく、美容・健康・レシピなど読み物系コンテンツを充実させ、長期的な関係性の構築に取り組んでいます。

 

またアンバサダーによる、SNSへ拡散の取り組みも盛んです。

 

3位.DHC

化粧品ECサイト売上ランキング3位はDHCです。

  • 売上高(百万円) 32,788
  • 増減率(%) ▲20.1

会員数1,565万人超え(2022年9月現在)、リピート通販に強いDHCが力を入れるのは、ダイレクトマーケティング。LINE公式アカウントでは、ネコのキャラクターを用いたスタンプをきっかけに若年層会員の新規獲得を図っています。

 

「企業」や「商品」を押し出しすぎず、占いやクイズといったコンテンツも取り入れながらECサイトへ誘導している良い例です。

 

最新動向からみる化粧品ECは課題がクリアになり始めているネットショッピング

今まで課題感が大きいと思われてきた化粧品ECですが、さまざまな新しい施策が生まれる中でオフラインとオンラインの溝が埋まりつつあります

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)化の波に乗り、EC化は加速していくでしょう。EC化率が低い今だからこそ、大手企業の戦略を参考にECサイト運営を始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

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