化粧品物流の発送代行・委託サービス導入の注意点【倉庫現場が語る】

2021年7月に経済産業省が公表した報告書によると、2020年の日本国内の物販系EC市場規模は、約12.2兆円(前年約10.5兆円、前年比21.71%増)と大きく拡大しています。化粧品、医薬品については、市場規模7,787億円、EC化率は6.7%です。他の分類に比べて市場規模、EC化率は突出していません。

 

しかし、今後化粧品のEC化率は「大きく伸びる」ことが想定されます。

 

当記事では化粧品ECへの展望、業界ならではの物流の課題、化粧品の発送代行・物流委託時の注意点を解説します。化粧品ECにこれから参入する方、すでに始めている方、双方にとって、化粧品物流の最適化が学べるでしょう。

電子商取引に関する市場調査

出典:令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

 

今後、化粧品ECは大きく伸びると予想!その理由は?化粧品EC

これまで、ECの比率が上がりにくかった化粧品業界。新型コロナウイルス感染症の影響により、広がりが加速しています。ロレアル(L’OREAL)の2020/5月下旬のEC売上は、アメリカで前年比143%、ラテンアメリカで同300%、ヨーロッパ、中東及びアフリカで同400%増加となりました。売り上げ増の大きな理由として、ECを「ブランド認知の目的」の位置付けから、いち販路として変化させたことが挙げられるでしょう。

ここではロレアルを例に化粧品ECが今後も伸びる理由と物流の変化について解説します。

 

カウンセリングのバーチャル化とECモールの活用|オムニチャネル化


化粧品のEC化が伸びる理由の一つに、カウンセリングのバーチャル化が挙げられます。これまで、消費者には以下を重視する傾向が見られました。

 

  • 店頭で化粧品を試して中国のオンラインショッピングモール「Tmall」購入する
  • 百貨店でビューティーアドバイザーのカウンセリングを受ける

しかし巣篭もり需要により、店頭に客足が遠のく昨今。ロレアルはデジタルの活用に力を入れました。中国のオンラインショッピングモールTmallやAmazonなどのモールを活用し、バーチャルタッチアップを始めたのです。購入率は通常の3倍となり、販路を広げた1例になりました。自社ECがメインであった従来から大きな変化であり、オムニチャネルへ対応できる物流体制が必要になります。

 

サービスのパーソナライズ化|サブスクリプションサービスの提供

ロレアルでは、バーチャルタッチアップ以外にも、ビデオチャットを活用したカスタマイズ・ヘアカラーのサブスクリプションサービスも展開しています。オンライン上での購入履歴は、肌質や化粧品の好みのデータとして蓄積され、より個人に合わせた提案が可能になるでしょう。

 

パーソナライズ化の「特別感」が顧客にとって付加価値になり、化粧品ECの価値が高まっています。商品のバリエーションが増えたり、サブスクリプションに対応したり、といった物流の変化にも適応していく必要が出てくるでしょう。

SNSの活用|DtoC(Direct to Consumer)の広がり

美容部員、メイクアップアーティストやマイクロインフルエンサーの情報発信からの購入が進んでいることも、化粧品ECの伸びに関係します。デジタル化が進む一方で、コミュニケーションを重視した購買プロセスが、中国から広がりを見せてきました。

 

ロレアルでは過去に中国のビューティーアドバイザーをインフルエンサー化させるためのトレーニングが行われたことも。リアル店舗を通した販売でなく、直接個人に販売をするDtoCが盛んになり、物流面もより細やかな対応が求められるようになってきました。

 

 

以下の記事で化粧品ECにおける最新のマーケティング施策を紹介しています。

「【2022年最新】化粧品ECの課題と業界大手のマーケティング施策を6つ紹介!」

 

 

化粧品ECの特徴・トレンド

化粧品と一言で言っても、幅広い商材があります。

 

  • 洗髪や整髪料といったヘアケア・スタイリング
  • 化粧水や乳液、美容液と言ったスキンケア
  • ベースメイク、メイクアップ
  • ボディケア
  • 香水
  • ポーチなどのグッズ …

 

日本国内の化粧品EC売上が上位企業は、洗顔料や化粧水、乳液といった基礎化粧品が主流で、定期購入のサブスクリプションモデルも多くなっています。新型コロナウイルス感染症の流行前後で、楽天市場における「美容・コスメ・香水」ジャンルの売上推移は順調で、2020年4月、5月は前年比約2倍の成長率となっています。

 

その中で、化粧水・ローション、美容液、クレンジング、フェイスクリームといった「スキンケア」ジャンルが売上比率が最も高く、約30%の比率です。新型コロナウイルス感染症の流行によって、外出自粛、店舗営業時間の短縮等で、販売チャネルとして店舗販売が縮小し、ECが拡大している様子が伺えます。

 

化粧品物流における起きがちな課題

化粧品物流
ここまでみてきた様に化粧品販売は、ここ数年で大きな変化を遂げています。物流にも大きく影響し、アナログ管理や自社管理に限界を感じる場合もあるかもしれません。ここでは、化粧品物流に起きがちな課題をチェックしましょう。

 

荷物取扱いを丁寧に行う必要がある

化粧箱も商品の一部。傷やへこみは、不良品としてみなすケースが多く、荷扱いは丁寧に行わなければなりません。化粧品はブランドイメージを掲げ、高額で売り出している商品もあるため、化粧箱もブランディングの一要素と考えられるからです。

 

化粧箱単位での出荷やセット組加工など細やかな作業の中で、商品を傷つけないよう、細かい作業ができる人の手が必要になります。

 

多品種・小ロットに対応した在庫管理

化粧品のパーソナライズ化により、これまでよりさらに多品種・小ロット化が進むでしょう。

 

  • 高品質を維持するため
  • 使用期限のある商品を売り切るため

 

先入れ先出しを厳守し、厳密な在庫管理をしなければなりません。また、転売防止やクレーム対応のためにもロットやシリアルをデータで残す管理は有効です。事業規模が大きくなれば、そのためのシステム利用(もしくは構築)が必須といっても過言ではなく、物流における課題の一つでしょう。

 

荷動きが増減する

物流の波動に対応しなければならないことも、課題として挙げられます。季節ごとの新製品販売の時期や広告を打ったタイミングは出荷や加工に人手が必要になりますが、徐々に落ち着いてしまうでしょう。

 

常駐の物流作業員を雇っては無駄が生まれてしまう可能性があり、その一方でスポット作業員の採用や教育にも費用がかかります。人件費を抑える仕組み作りを考慮しなければなりません。

 

オムニチャネル・各業態への対応

数あるモールや販売チャネルの連携は化粧品販売における物流の課題でしょう。Amazon、楽天、@cosme、Qoo10など、20以上のモールでの多店舗展開を円滑に行えば、売り上げの増加も見込めます。また対企業であるBtoBと個人への出荷BtoC、双方を巻き込んでいく必要もあるでしょう。

 

しかし、販売チャネルが増えるほど、在庫管理は複雑化します。在庫を一元管理し、リアルタイムで物流情報を反映させる仕組みが必須です。

 

化粧品製造業許可が必要

業務拡大や人手不足に伴い、いざ物流のアウトソーシングを考えたときに「化粧品製造販売許可」を取得している業者でないと任せられないのも、一つの課題です。この製造業許可が指す製造工程には「包装・表示・保管」を含みます。

 

そのため海外から輸入した商品の受入、ラベル貼付、パッケージの入れ替えを想定し、一貫したサービスを受けるために物流倉庫が許可を取得していることは必須です。場合によっては「医薬部外品製造業許可」や「高度管理医療機器等販売業・貸与業許可」が必要なケースもあるでしょう。

 

化粧品の発送代行・物流委託時の注意点

化粧品

では次に化粧品の物流委託・発送代行サービスを取り入れる際の注意点を、確認しましょう!簡単に列挙していくので、検討時に委託業者が項目を網羅しているかチェックしてみてくださいね。

化粧品製造業許可、医薬部外品製造業許可を得ているか?

化粧品の在庫管理や入出荷業務を行うためには、「化粧品製造業許可」の免許が必要になります。更に、医薬部外品を扱う場合は「医薬部外品製造業許可」の免許が必要です。

 

化粧品を適切な環境で保管することが可能か?

化粧品や医薬部外品は、温度や湿度、直射日光等の条件で品質に影響が出やすくなります。空調管理、湿度管理が細やかに対応可能か確認しましょう。

ロット、有効期限に応じた管理が可能か?

食品と同様、化粧品でもロットや有効期限の管理ができるのか確認しましょう。カートやモールと連携しているシステム管理が望ましいです。

高単価商品の保管設備は十分か?

高単価商品の保管場所への出入りを特定従業員に限る、スペースに施錠を行う、入退室の記録を残すなど取組みがあると安心感がありますね。

セット品の対応は可能か?

スキンケアでは、肌質に合わせた商品の組合せによるセット品が一般的です。複数商品を組合せたセット品の対応ができるか確認しましょう。その際、繁忙期の出荷量を開示し、1日に対応できる量も合わせて確認できると、のちに食い違いが起こりません。

説明書やサンプル品など、注文内容に応じた試供品の同梱が可能か?

説明書やサンプル品以外でも、他商品の広告等の同梱など、どこまで対応可能か確認をしましょう。リピート通販においては購入回数に応じた種類のチラシを同梱できる仕組みがあるかどうかも、重要です。

ギフト商品のラッピング包装は可能か?

化粧品は、「ブランド」として消費者に訴求していく商材です。単価が高い場合も多く、発送代行に求められる品質は高いと考えられます。ラッピングの要望に柔軟に対応可能か、場合によっては、資材の提案ができるかなども合わせて聞いておくと良いでしょう。

 

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また、事業拡大による出荷の伸びや季節による出荷変動への対応策として、XTORM(エクストーム)の利用も最適です。弊社ロジクラと佐川グローバルロジスティクスとの共同サービスにより、24時間365日稼働で最大2.75万件の入出荷/日を実現しました。最短で当日の午前中の納品が可能。各ECカートとの連携で、出荷まで手間なく自動的に完了します。初期費用・固定費はかからず、保管量・出荷量に応じた従量課金性なので安心してご利用いただけるのもポイントです。

 

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