
フルフィルメントのメリット・デメリットを完全解説! – 2022年最新版
ECや小売業界に携わる方であれば、「フルフィルメント」の言葉を耳にする機会があるはずです。しかし物流代行と混同され、言葉の定義が正しく理解されていないケースが散見されます。
今回はフルフィルメントの基本の意味、メリット・デメリットを徹底解説します。最後まで読めば、言葉の概念をしっかり理解したうえで、取り入れるべき手法を検討できるでしょう。
目次
フルフィルメントとは
フルフィルメントとはどのようなことを指すのか、具体的に紹介します。
受注から配送完了までの一連業務
フルフィルメントとは、ECサイトで商品が注文されてから消費者に届くまでの全ての業務を指す言葉です。英語では「fulfillment」と書き、「履行・遂行・実践」などの意味があります。
そして一連の作業を請け負うフルフィルメント企業が存在します。このフルフィルメント企業の物流代行サービスがフルフィルメントサービスです。AmazonのサービスFBA(フルフィルメント byAmazon)が想像しやすいかもしれません。混同しやすいため、区別して覚えましょう。
フルフィルメントの具体的な業務内容の紹介
フルフィルメントの基本的な業務内容は、以下の通りです。
- 入荷管理
- 商品の保管
- 受注処理
- ピッキング
- 梱包
- 発送
つまりフルフィルメントサービスは、これらの物流工程が代行できるサービスといえます。工程を順に解説しましょう。
入荷管理
入荷管理は倉庫に届く商品の品番、数量、状態を確認し、倉庫に格納する作業です。品番、数量に誤りがある場合、
- 入荷を予定していた数量「理論在庫」
- 実際に入荷する数量「実在庫」
に差異が発生します。ダメージがあった場合にも、出荷できない不良品として管理しなければなりません。出荷時に商品が足りないといったトラブルを回避するために、重要な作業です。ハンディーターミナルを使用し、効率化・正確性の向上を図るケースもあります。
商品の保管
次に商品保管を行います。ラックやパレットを用い、整理整頓された状態で保管。このとき、数量管理や出荷のしやすさと保管スペースを加味しながら、適切な保管方法を考えます。また場合によっては商品の特性により、匂い・湿気・室温などにも考慮する必要があります。
受注処理
注文を受けたら、受注処理を行います。注文状況から在庫の確認、注文完了報告メールの送信、決済状況の確認といった業務です。以下のいずれかの方法が一般的です。
- エクセルなどのアナログな方法
- 受注管理システム+在庫管理システムの使用
販売チャネルや事業規模に合わせた手段を選定し、出荷指示をします。
ピッキング
倉庫へ出荷指示を行うと、次はピッキング作業です。保管場所から指示に基づいた商品および数量を取り出し、発送準備をします。手作業のケースがほとんどですが、高い場所に格納した商品や重量物はフォークリフトを使用する場合もあります。
ピッキングについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
【改善事例】ピッキング作業の改善が物流のスピードや正確さを左右する!
梱包
ピッキングされた商品を梱包します。商品のサイズに合わせた梱包箱、商品の特性に応じた緩衝剤(プチプチや紙を丸めたもの)を選定。納品まで商品が破損しないよう、美観を損なわないよう、注意して作業します。
発送
梱包された商品に配送伝票を貼り付け、発送します。伝票の貼り間違いや住所の誤りがあれば、納品漏れを招くため要注意です。また同時に運送手配も行います。集荷時には、ドライバーへ商品の受け渡し漏れがないか、確認しましょう。発送次第、発送完了メールを注文者に送ります。
フルフィルメントサービスでカスタマイズできる業務
フルフィルメントサービスはオプションで以下のようなサービスを提供している場合もあります。
- ラッピングや感謝状などの封入
- 決済業務
- アフターサービス
- 返品業務
これらはフルフィルメント サービスならではのオプションです。EC事業の負担軽減に役立つでしょう。尚、設定されているサービスは、提供する企業によって差があります。導入を検討する際には、自社の目的に合わせて詳細まで確認すると良いですね。
フルフィルメント導入のメリット
フルフィルメントサービスを導入するとどのようなメリットがあるのか、詳しく紹介します。
商品開発や販促企画に集中できる
フルフィルメントを代行業者に任せれば、売り上げがどんなに増えても物流業務が負担になることはありません。ECサイトを運営していると、受注管理や在庫管理に想像以上の時間がかかります。さらにセールなどで売り上げが増えると物流業務が忙しくなり、それ以外の業務に手が回らないという状態も考えられるのです。
物流業務を手放すことにより、商品開発や販促企画に集中できます。また、物流が対応できるかどうかを気にせず、業務拡大の計画を立てられるのもポイントです。
高品質な配送サービスを享受できる可能性が高い
フルフィルメントを自社で行うよりも、高品質な配送サービスを享受できる可能性が高くなります。ECサイトなどネット通販では、お客様と顔を合わせることがない分、消費者は配送の質がショップの質を反映していると考えています。
短納期を確約したうえでミスや事故がない配送がお客様にとっては当然です。ショップが対応すると、かなりの労力を使います。特にセール時など、出荷量が増えると配送スピードが下がってしまう企業にはフルフィルメントサービスが大きなメリットになるでしょう。
蓄積したノウハウをフル活用して対応してくれます。 スピードアップと品質の向上が見込めるでしょう。
コスト削減の可能性
フルフィルメントを使うと以下のようなコストの削減が見込めます。
- 人件費
- 倉庫費
- 梱包資材費
これらの費用は、外注した方がコストを抑えられることが多いです。例えば、セール時などにアルバイトを採用している場合、採用や教育にコストがかかっています。フルフィルメントに任せれば、人員の不足を心配することなく必要な業務にコストを割くことが可能です。
倉庫費用、もっといえばマテハン機器などの資産を持たずに済む部分も、コスト削減に大きく影響します。自社で資産を保有してしまえば、閑散期であっても一定の費用がかかるでしょう。固定費から、保管量や出荷量に応じた変動費に変わることで恩恵を受けられます。
また、梱包資材は一度に大量に購入した方が安く仕入れられますが、保管場所の問題もあり小規模なショップでは難しいでしょう。金額としては小さいですが長い目で見るとコスト削減につながります。
顧客満足度の向上
フルフィルメントの代行により、物流をプロの手に任せることで顧客満足度の向上が図れるのもメリットの一つです。
物流のみに向き合っている専門業者は、日々のオーダーをミスすることなく出荷することに注力しています。またお客様にお届けするまで、すべての工程において、商品に傷や汚れがないか責任を持って遂行するでしょう。物流面の品質が担保され、結果として顧客満足度が向上します。
売れ筋商品をアウトソーシングすることで、特に大きなコスト削減効果を見込める
物流は売れれば売れるほど業務の負担が大きくなります。欠品しないように適切な在庫管理をしたり、ミスなく配送したりするのは想像以上に難しい仕事なのです。そのため、売れ筋商品ほどアウトソージングすることでコスト削減の効果が見込めます。
さらに、売れ筋商品の物流を心配する必要がなければ、より一層、販促に力を入れられます。コスト削減と売上増加の両方から収益アップを目指すことが可能です。
フルフィルメント導入のデメリット
フルフィルメントにはデメリットもあります。理解したうえで導入を検討してください。
商品管理の品質がフルフィルメント企業次第
フルフィルメントでは商品の管理も任せることになります。もし、商品管理の品質が低く、劣化した商品が消費者の元に届いた場合、消費者はショップの責任だと考えるでしょう。悪いレビューとして書き込まれるリスクもあります。
サービスによっては、カスタマイズが難しいケースがある
フルフィルメント企業によってサービスの内容に差があります。選ぶ企業によっては、ギフトラッピングや梱包資材の形やサイズなどカスタマイズが難しいケースがあります。
特に、小規模ショップが事業拡大をする際、従来のフルフィルメント企業では対応できなくなるケースが考えられます。事業拡大を見越してフルフィルメント企業を選ぶようにしましょう。
物流業務についてノウハウが蓄積されない
将来的に物流も自社で行いたいと考えているのなら、ECのバックヤード業務についてノウハウが蓄積されないことは大きなデメリットとなります。社内に誰もバックヤードに関する知識を持つ人がいなくなってしまっては、フルフィルメント業者のコントロールもできず、依存する形になってしまいます。さらに、自社の商品に関するノウハウが他社の商品のために使われる可能性もあるでしょう。フルフィルメントを利用しながら、少しずつ物流業務に携わるスタッフの育成をしていくと良いですね。
お客様の意見が自社に届きにくい
受注以降のお客様とのやりとりを全てフルフィルメント企業が管理するため、お客様の意見が自社に届きにくくなります。
特に、配送後のアフターサービスもフルフィルメント企業が担っている場合、改善ポイントに関する意見が反映されにくくなったり、クレーム対応が遅れる可能性も考えられます。フルフィルメント企業と連携を取りながら、お客様との接点を保つためSNSを利用するなどの工夫をするのがおすすめです。
フルフィルメントサービス導入をおすすめするケースをご紹介!

フルフィルメントサービスを導入する事によるメリットが大きいケースの特徴を紹介します。
ケース1.配送業務にコストがかかりすぎている
配送コストがかかりすぎていて削減が難しいと感じるのなら、フルフィルメントサービスの導入がおすすめです。フルフィルメント利用料はかかりますが、業務が効率化されてコストカットできる可能性があります。また自社では難しい分散拠点を持つことにより、納品先へ近い地域からの発送が可能になり、コスト削減ができるケースもあります。
ケース2.ミスやトラブルが多発している
物流ではミスやトラブルは大きな損失につながります。フローを見直して効率化を図ってみてもミスやトラブルが減らない場合は、専門業者に任せてしまうのも手です。自社は商品開発や販促企画に注力した方が効率よく収益アップにつながります。
ピッキングミスや誤出荷でお悩みの方は是非こちらの記事も参考にしてください。
ピッキングミスを防ぐことで業務を最適化!
出荷管理ではシステム導入がカギに?出荷管理における課題、重要性をご紹介。
ケース3.EC事業を始めようとしている
EC事業を始めたばかりのころは、多くのトラブルに見舞われることが考えられます。少しでもスムーズに業務を進めていくために、始めは受注や発送業務を外注するのもおすすめです。
特に発送ミスや遅延はショップの評価を大きく下げ、その後の事業を伸ばしにくくしてしまいます。ショップの運営が軌道に乗ってから、自社で物流をすすめてみてはどうでしょうか。
フルフィルメントの代行業者を選ぶポイント
数あるフルフィルメント業者の中からサービスを選ぶには、アウトソーシングによって自社の目的を達成できるかどうか見定めるのがポイントです。
まずは現状の業務のどこに問題点があるのかあぶり出しましょう。
- 物流に関するミスやトラブルが多い
- 繁忙期の作業が深夜に及ぶ
- 物流費のコスパが悪い
さまざまな問題要素が挙げられるはずです。問題が解決できるサービスかをまず確認をし、相見積もり。そしてコスト削減になるか検討してみてください。
関連記事はこちら
「物流アウトソーシングとは?基本から選び方のポイントまで【物流現場のプロが語る】」
ロジクラが運営するEC事業者向けフルフィルメントサービスXTORMの特徴

XTORMはEC事業者向けのフルフィルメントサービスです。在庫管理システムを提供するロジクラと佐川グローバルロジスティクスが共同で提供しています。
ここからはそんなXTORMの主な特徴を紹介します。
- 各ECカートと連動
- 最短当日午前に配達
- 初期費用無料の従量課金
- 1日最大5.5万点の入出荷が可能
24時間365日対応の自動出荷システムがECカートと連動しているため、出荷スピードが早く、お客様の「すぐ欲しい」に対応します。また、倉庫のキャパシティも大きいので「セールの発送が追いつかない」という心配もありません。完全従量課金制で初期費用を懸念されている方にもおすすめです。
「急な注文増加に対応できない」「誤出荷など人的ミスが起きている」「出荷業務によって他の業務がなかなか進まない」そんな方におすすめのサービスです。
詳しいサービス内容はこちらのページをご覧ください。
まとめ
フルフィルメントとは、受注から発送までの物流業務全般を指します。フルフィルメント サービスを導入すると、コスト削減や配送品質の向上などのメリットがあります。反対に、お客様の意見が届きにくくなるなどのデメリットもありますが、SNSなどを使って積極的にお客様との接点を作ることで解決可能です。
EC事業者向けのフルフィルメントサービスであるXTORMはECカートと連携した自動出荷システムでミスなくスピーディーに出荷できます。初期費用がかからないので小規模事業者でも使いやすく、倉庫キャパシティがあるので、セール等で作業量が急増しても心配ありません。物流に課題を感じている方におすすめです。

売れ筋商品にフルフィルメントを活用した物流戦略を!(ABC分析)
アフターコロナを見据え、売れ筋商品・ロングテール商品の分析手法、ABC分析の説明と、実際にどのように倉庫とフルフィルメント・センターを並行活用していくのか、その運用の仕組みを徹底解説致します!