越境EC完全ガイド【2022年最新版】

海外向けにオンライン販売を行う越境ECに注目が集まっています。しかし、海外とのやり取りに不安を覚える方も多いでしょう。そこで、国内における越境EC拡大の背景やメリット、注意点などを解説します。成功事例や始め方についてもご紹介するので、越境ECを検討されている方はご検討ください。

 

越境ECとは?

越境ECとは、インターネットを活用して海外へ商品を販売するEC(電子商取引)のことを意味します。日本でもEC利用者数の増加に伴い、越境ECは盛んに行われています。現在、急成長中の市場であり、成功すればビジネスを大きく拡大することが可能です。日本製品は高品質で安全なものが多く、海外で取り扱っていないものや珍しいものがたくさんあるため、外国人からの支持が厚いという特徴があります。

 

越境EC拡大の背景

越境ECの市場規模は、毎年拡大しています。拡大の背景と考えられる要素はたくさんありますが、大きな要素といえる3点について解説します。

 

拡大する市場規模

経済産業省が2020年7月に発表したデータ*によると、日本国内のEC市場規模は約19.4兆円でした。中でも市場規模の大きい中国・米国からの購入額は年々増加しています。越境ECにおける中国・米国の伸び率は、国内市場の成長率を上回っている状態です。

 

中国や米国は人口が多いので、中国は日本の10倍、米国は日本の5倍の市場規模があります。日本は海外からのニーズが多いという大きな越境ECのポテンシャルやチャンスがありながら、まだ十分に活かされていない状態です。ECのグローバル化の発展具合を考慮すると、越境ECにチャレンジするメリットは大きいといえるでしょう。

 

*資料:令和2年度 産業経済研究委託事業 (電子商取引に関する市場調査)

 

スマートフォン等デジタル機器やインターネットの普及

世界中のインターネット普及率が向上し、スマートフォン等のデジタル機器の所有率も高まっています。発展途上国で低価格スマートフォンが普及し、モバイル端末からのインターネット接続が拡大したこともインターネット普及率向上に大きく影響しているでしょう。インターネットの普及によって、世界中のユーザーが自国以外の商品情報も簡単に閲覧・検索できるようになりました。自国商品などと比較し、より低価格で高品質な海外の商品を手軽に購入できるようになったことから、ますます越境ECの拡大は期待されるでしょう。

 

海外の日本製品ファンに対するインバウンドニーズの吸収を期待できる

コロナ渦の影響を受ける前は、訪日外国人の数は年々増えていました。中でもアジア圏からの観光客は、日本の家電製品・衛生用品・食料品・化粧品・衣類などへの興味・関心が強く、買い物目的で訪日する傾向もありました。日本で一度商品を購入した後、帰国後に使用して大変気に入り、越境ECを利用してリピート購入するというケースが多いのも特徴です。

 

一度も日本に来たことがない外国人でも、家族や友人・知人にお土産として日本製品をもらったり、SNSで話題になったりしたことがきっかけで、日本製の商品を購入するというケースもあります。日本製品の品質の高さは海外で高い評価を受けており、「品質が高いから」「日本ブランドは安心できるから」という理由で越境ECを利用するユーザーは増えています。

 

また、アニメやドラマなどが配信サイトで世界同時配信されるなど、ボーダレスなファンコミュニティが生まれています。アニメやドラマの影響を受け、海外でも本・CD・DVD・おもちゃ・ゲーム・アニメグッズなど、エンタメ関係の商品は特に人気です。海外店舗では購入できない商品が、日本のECで手軽にオンラインで購入できるとなると、ますます需要は高まるでしょう。

 

越境ECのメリット

越境ECは、市場規模が大きいためビジネスや販路の拡大が期待できます。越境ECの代表的な3つのメリットについてご紹介します。

 

ビジネス拡大が期待できる

越境ECの最大のメリットは、海外の顧客を獲得できることです。日本では、少子高齢化による人口減少などが原因で、市場規模が縮小傾向にあることは否めません。しかし、ネット上で海外向けのビジネスを展開できるので、日本に居ながらにして海外市場が開拓できます。

 

例えば、日本の約10倍の人口を誇る中国をはじめ、人口が6億人を超えるASEAN市場など、世界の市場人口は拡大傾向にあります。また、日本にあまり旅行者が訪れない国、潜在的な顧客が多い国、購買力が高い傾向がある欧米など、世界には魅力的なマーケットがまだまだたくさんあります。国内のみならず、海外に販売網を広げることで、今までの何十倍もの新規顧客獲得も見込めるでしょう。

 

日本製品の強みを活かす事が出来る

日本国内市場では、類似商品との差別化、コスト勝負などが激化しています。しかし、海外において日本製品は、質が高く自国の安価品と比べたときに「高価格でも買いたい」と思われるような魅力があるようです。日本製品は精密かつハイクオリティで安心感があると評判で、コロナ渦による影響を受ける前は、日本製品をわざわざ買いに来る外国人観光客は数多くいました。

 

「一度使った心地良さをまた実感したい」「日本に訪れたときに感動した商品をもう一度使いたい」「せっかく使うなら高品質なものが良い」という人々は、世界中に数多くいるのです。商品の開発ストーリー、歴史、品質の良さ、こだわりなど、日本ブランドならではの魅力を訴求することで、対象国の安価品とは異なる高価格帯でのブランディングが可能になります。

 

販売可能商品が多くなる

日本であまり売れないものでも、海外で売れるということはよくあります。つまり、越境ECを始めることで、販売可能商品が増えることになるのです。ブームが去り、日本ではあまり売れなくなったフィギュアやおもちゃでも、海外では希少価値のある入手困難品となり高くなるケースもあります。

 

また、日本人は物を大切に使う傾向があり、日本の買取業者は商品を丁寧にクリーニングするので、中古ブランド品は海外でも価値ある人気商品です。日本で既に認知されているような商品でも、海外ではもの珍しく新鮮に映ることがあります。

 

例えば、日本人ならではの細やかさで作られたベビー用品や高齢者向け商品は、対象国にはない便利さや新鮮さで売れ筋商品になることがあります。また、日本人が当たり前に使っているような商品でも、海外の人にとってはもの珍しい最先端な商品になることもあるでしょう。

 

 

越境EC検討における注意点

越境ECには大きな可能性やメリットがある一方で、注意すべきことやデメリットも存在します。越境ECで成功するために、以下の注意点は事前に把握しておくことが大切です。

 

輸送コスト面

越境ECにおいて最大のデメリットといえるのが、輸送コストの高さです。配送料や手数料は日本国内よりも高額になるため、結果としてユーザーが負担する金額は大きくなります。海外の顧客にとって輸送コストの高さは、ネックになる要因の1つといえるでしょう。輸送に時間がかかる分、紛失などのリスクも覚悟しなくてはなりません。

 

越境ECでは、「お買い得」「低価格」を売りにしても結果的に輸送コストでトータル金額が高くなるため、外国人に人気のある日本の商品やブランドなどの希少性や、海外にはないという珍しさを売りにした方が、売り上げが見込める可能性は高いでしょう。

 

また、越境ECでは、外貨で決済が行われるため、為替レートの変動などによって価格に大きく差が出てしまうという点も理解しておかなければなりません。決済方法や発送方法も国によって異なるため、それぞれの国の制度をしっかり理解しておくことが大切です。

 

関連法律が異なる為、国によって対応する必要がある

越境ECでは、販売する国や地域の法律や規制に対応しなければなりません。新しい国で商品の取り扱いを始める際は、それぞれの国に合わせて柔軟に対応を変えていく必要があります。また、国境を越える取引においては、商品やサービスに対して関税が発生します。関税の金額は商品によって異なるので、販売する商品にどのくらいの関税がかかるのかを、事前に税関のホームページで確認することが必要です。

 

越境ECでは法律や関税だけではなく、物流・決済方法・発送手段・言語・翻訳など、販売国に合わせた対応が必要になります。国ごとに通貨単位や言語が異なるので、複数国が対象となる場合は、全ての商品情報を多言語化することが必要です。それぞれの対応手順やコストなどを事前に確認する必要があります。

 

禁制品への対応

関税法によって、ある国には発送できるのに、ある国には発送できないというケースがあります。商品や商品カテゴリーによっては、関税法で輸出入が禁止されているものもあるので注意が必要です。

 

基本的には外国為替及び外国貿易法、関税法、文化財保護法、覚せい剤取締法などの国内ルール、ワシントン条約、モントリオール議定書などの国際ルール、相手国のルール、モール等のルールをクリアしていれば販売可能です。

 

しかし、中国では古着の輸入が禁止、中古機器などの輸入には現地確認が必要などのルールがあり、アメリカでは化粧品や医薬品に制限があります。相手国の細かなルールも見落とさないように注意しましょう。

 

輸出入禁止品目や貿易上の注意事項について確認したい場合は、以下のサイトを参考にしてください。 

税関(Japan Customs)「輸出入禁止・規制品目について」

経済産業省「貿易管理」

 

越境ECの成功事例をご紹介!

越境ECの市場規模や大きな可能性について理解できたところで、いち早く越境ECにチャレンジした企業の事例を見てみましょう。実際の成功例を見ることで、新たな戦略のイメージや方向性のヒントになるかもしれません。

 

ICHIGO

ICHIGOは「日本の文化や体験を届ける」をモットーに、海外向けに日本のお菓子や雑貨を詰め込んだボックスのサブスクリプションECを展開しています。2015年に創業し、2022年7月期には越境EC売上高が40億円を突破する見通しです。対象は世界150の国と地域になっており、メルマガ購読者を合わせた顧客数は約180万人となっています。

 

日本ではまだ一般的ではなかったサブスクリプションサービスに着目し、海外からの訪日外国人が増えていることや日本の食や文化に興味・関心を持つ外国人が増えることを踏まえ、海外向けのサブスクリプションで商品を販売する事業の立ち上げを決心するところから始まりました。現在はお菓子以外にも、クレーンゲームアプリ事業も展開し、海外ユーザーがアプリを通じて操作、獲得した景品を物流倉庫から配送するなど事業を拡大しています。

 

Sakuraco: Authentic Japanese Snack Subscription Box

TokyoTreat: Japanese Candy & Snacks Subscription Box

 

BENTO&CO

フランス生まれの店主が京都に留学していた際に、日本や京都について紹介するブログが人気を博していました。ブログからビジネスを起こしたいという思いで、海外向けに弁当箱や弁当を可愛くする京都発祥の弁当箱専門店のサイトを立ち上げ、現在では京都市内に実店舗も展開しています。

 

ヨーロッパにおいて、弁当箱の火付け役となったBENTO&COは、毎年「国際弁当コンテスト」を開催するなど、商品だけではなく「Bento」文化を世界に伝えているショップとして人気です。 日本語、英語、フランス語に対応し、海外向けサイト内では弁当箱以外にもキッチングッズや食器などの販売も行なっています。

京都発弁当箱専門店がセレクトしたお弁当箱とアクセサリー – Bento&co 京都発弁当箱専門店 (bentoandco.jp)

 

Matcha Latte Media

Matcha Latte Media株式会社は、日本の中小企業向けに海外への食品販売の支援とコンサル

ティングを行っていた社長が立ち上げた、日本のお茶・茶器・スイーツなどを販売するサイトです。2012年に創業し、2013年から越境ECを開始しました。日本全国の茶農園と茶専門店約50社が出店しており、日本の茶農家と直接取引ができる「日本からの産地直送の茶」というコンセプトが海外の緑茶販売サイトとの差別化を生んでいます。今後はサイトの出店数を100店舗以上にするなど、個人向けと事業者向けの両方で、海外に緑茶を中心とした商品を販売するプラットフォームになることを目指しています。

Matcha Latte Media – Yunomi.life

 

Tokyo Otaku Mode

2011年に日本のポップカルチャーを配信するFacebookページを開設したTokyo Otaku Modeは、2013年から日本のアニメや漫画、その関連グッズを海外に販売する越境ECを開始しました。スタート以来、年平均40〜50%の伸びで売上を伸ばしており、アメリカ・カナダ・オーストラリア・中国の4カ国で全体の70%の売上を占めています。

 

Facebookページの現在のフォロワー数は、日本企業としては最多の2,000万人を誇りますが、現在力を入れているのがInstagramです。言語対応は重要としつつ、必要最低限の部分の翻訳がされていれば良く、写真や動画のような非言語コミュニケーションが重要という考えでInstagramに力を入れています。

 

Tokyo Otaku Modeのユーザーは、海外から毎月高額のフィギュアを購入するようなロイヤルカスタマーと、日本のポップカルチャーである「かわいい」に惹かれて、ぬいぐるみや原宿系のファッションを購入する女性ユーザーの2種類に大きく分類しています。Instagramのアカウントを5つ所持しており、それぞれ趣向に合わせた情報発信を別アカウントで行い、成長率やアクティブベースを伸ばしています。

 

Tokyo Otaku Mode オンラインショップ

 

越境ECの始め方徹底解説ガイド

海外向けの商品を販売するには、さまざまな方法があります。それぞれの始め方やメリットとデメリットについてご紹介します。自社の商品やサービスに合った出店方法を検討してみましょう。

 

海外対応をした国内プラットフォームの利用

国内で展開している海外対応のプラットフォームに出店する方法です。国内のプラットフォームなので、申込みなどは日本語対応しており、サポート体制もあるので最も手軽に始められる方法と言っても良いでしょう。海外対応しているプラットフォームとしては、楽天・Amazon・Yahoo!ショッピングなどが代表的なものとなります。

 

ただし、海外への配送料、手数料が高くなる、集客力は海外プラットフォームより劣るというデメリットがあるので注意が必要です。「海外言語に対応できない」「海外の越境ECモールについての知識がない」といった企業にはおすすめです。

越境ecを始める為にお勧めのモール&サービスを徹底解説!

 

海外プラットフォームに出店

海外プラットフォームに出店する方法です。海外の集客力があるプラットフォームを活用することで、集客力のハードルを下げることができます。代表的なプラットフォームは、欧米を中心に190カ国以上で展開している越境ECサイト「ebay」、アリババが運営している中国最大のECモール「天猫国際(Tmall Global)」、E-bay Koreaが運営する韓国最大のEC「G-Market」などです。

 

しかし、国内プラットフォームを利用した場合と同じように手数料などは掛かります。また、申込みは全て現地語や英語などで対応しなければなりません。多国言語に強い企業にはおすすめです。

越境ecを始める為にお勧めのモール&サービスを徹底解説!

 

自社ECサイトを作成する

海外や国内のサーバーを使って、自社のECサイトを作成する方法です。最近では、Shopifyのように月額費用・手数料を支払えば利用できる、越境ECに対応したプラットフォームも数多く登場しています。テンプレートやデザインを選ぶだけで、機能性の高いサイトを制作できるプラットフォームもあるのでおすすめです。

 

商品ページを英語化できたりするサービスなどを上手に活用すると良いでしょう。自社ECサイトを作成することは、自社のブランドイメージを崩さないウェブサイトを制作できるというメリットがあります。

越境ecでshopifyがおすすめな理由とは?

 

まとめ

越境ECの運営は、注意しなければならない点がいくつかあります。

 

しかし、日本国内において人口の減少、類似商品との差別化、コスト勝負などが激化している今、ますます需要が高まることが予想される越境ECにチャレンジしたいという方は多いでしょう。

 

今回は、越境ECの始め方や成功事例についてご紹介しました。越境ECによるビジネス拡大をぜひ検討してみてください。

 

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