
EC物流代行で倉庫作業をアウトソーシング!サービス内容・コスト・おすすめ業者を解説【2022年最新】
EC物流代行とは、ネットショップにおける物流業務のアウトソーシングを指します。物流の仕事に手をこまねいてるEC事業者であれば、事業拡大のためにも一度は検討しておきたいサービスです。
当記事では、EC物流代行サービスの特徴、EC物流が直面する課題、課題に対して代行サービスが提示できる解決策を徹底的に解説します。気になるコスト面にも言及しますので、最後までご覧ください。
目次
EC物流代行とは

EC物流代行は、委託する業者によって作業範囲が様々です。ここではまず基本として委託できる業務内容と、サービスのタイプを3つに分けて紹介します。
EC物流代行に含まれる業務内容
EC物流代行業者の業務内容は以下の通りです。
入庫・検品
商品の仕入れ先から倉庫へ届いた荷物を受入れます。(入庫)注文内容と商品の種類・数量が合致しているか、また箱つぶれや破れなどの不良品がないか確認します。(検品)
商品の保管
入庫・検品の作業が終わると、次は商品の保管です。保管棚に棚入れしたり、パレットに積みつけをしたり、保管効率と出荷のしやすさに考慮しながら保管します。商品特性に応じて、温度や湿度にも気を配る必要があります。
流通加工やささげ業務
必要に応じて流通加工やささげ業務を行います。流通加工とは、例えば以下のような例が挙げられます。
ギフト
値札・タグ付け
名入れ
詰め合わせ
またささげ業務とは、アパレルなどで必要になる商品の撮影・採寸・原稿作成のことです。
受注管理
ネットショップより、お客様から注文を受けます。納品場所や支払い状況を確認し、必要に応じて受注メールを送るなどの個別対応をします。
ピッキング・梱包
受注に基づき、商品を保管場所から取り出します。(ピッキング)明細書やお礼状などの同梱物、送り状を準備し、梱包も行います。
出荷・発送
出荷前に商品の状態・数量を確認し、運送会社を手配します。時間指定や庭先条件に応じた運送手配も重要です。ドライバーに荷物の受け渡し完了後、商品の追跡番号をお客様に連絡します。
在庫管理
入出荷後には在庫のずれがないよう、記帳またはシステムに入力を行います。必要に応じて棚卸しをし、在庫差異をなくすことで機会損失を防ぎます。
どこまでアウトソシーングできるかは、サービスによって異なります。
主なEC物流代行のサービスのタイプ3種類

EC物流代行は提供されるサービスや形態によって、大きく分けて3つのタイプがあります。
タイプ①個別倉庫に委託
物流倉庫を運営する会社が提供しているサービスです。代行してもらえるサービスは商品の入出荷・配送と在庫管理で、受注管理はショップ側で行います。倉庫内の作業を細かく設定できることがメリットです。ピッキングミスなど煩雑な庫内作業に課題を感じている方におすすめです。
タイプ②3PL業者に委託
物流倉庫と、提携する業者が提供しているサービスです。代行してもらえるサービスは、商品の入出荷・配送と在庫管理で、受注管理はショップ側で行います。個別倉庫への委託と同様です。違いとしては全国に複数の倉庫がある点です。配送先に近い倉庫から発送できるため、1件の注文に対する配送費を安くできます。配送のリードタイムとコストに課題を感じている方におすすめです。
タイプ③フルフィルメントサービスに委託
全てをお任せできるタイプのフルフィルメントサービスでは、庫内作業だけでなくネットショップ運営に関するバックグラウンド業務も任せることができます。受発注業務や、問合せ、クレーム対応、入金管理など業務範囲は多岐にわたります。ショップ運営全体を効率的に進められる点がメリットです。多店舗展開している場合は特にメリットを享受しやすいでしょう。
EC物流代行の導入の背景には拡大を続けるEC市場
EC市場は拡大を続けています。インターネットの普及と巣ごもり需要に伴い、ネット通販の利用者は増えました。
画像引用元:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(経済産業省)
経済産業省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、物販系分野2020年のBtoC-EC市場規模は2019年と比較して約2兆1,818億円上回り、その規模は毎年拡大しています。
売り上げが伸びるのは良いことですが、ネットショップでは売れれば売れるほど物流に関わる業務の負担が増えるのが問題です。EC物流代行が大規模事業者だけでなく、中小規模事業者にも導入され始めている理由として、市場の拡大が背景にあります。
「順調に売り上げも伸びているから事業を拡大したいと思っても、物流業務が忙しすぎて事業拡大の準備が進められない」という方は、代行を検討するタイミングかもしれません。こちらの記事で詳しく解説しています。
「配送代行を検討するタイミングとは|業者の選び方も紹介」
EC物流ならではの直面する課題

EC物流が直面する特徴的な課題として、以下のような点があげられます。
- 物量が少なく配送先が多いため、コストが高くミスが発生しやすい
- マルチチャネルによる販売で、在庫や受注管理が難しい
- 新商品発売やセール時など物流波動への対応が難しい
詳しく解説していきます。
物流コストが高くなりやすい
EC物流、とりわけtoC向けのECサイトは物流コストが高くなりやすい傾向があります。ECサイトでは消費者それぞれの手元に商品を届けるため、少ない量を多くの配送先に届ける必要があります。物流では1つの配送先に発送するために多くの作業工程を踏む必要があり、件数が増えるとミスが多くなりがちです。同時に1件ごとにコストがかかり、販売数が増えるとコストも同じだけ増えてしまうことが課題の一つといえます。
マルチチャネルの在庫管理が難しい
カートやモールをいくつか並行して運営するマルチチャネルでのネットショップでは、在庫や受注の管理が難しいことも課題です。欠品が起こらないようサイトごとに分けて在庫を管理し、適正在庫を維持できていないケースもあるでしょう。
物流波動への対応が難しい
EC物流は繁忙期と閑散期の差が顕著であり、適切な人の配置・採用が難しい点も課題として挙げられます。セール期間や連休明けなどは出荷が膨らみ、出荷対応にあたるスタッフに人数を要します。しかし固定でスタッフを雇用すれば、閑散期には人手を余らせてしまい、余計な人件費が発生してしまいます。繁忙期にスポットで人員を増やすにしても、教育コストがかかるため適切な人員配置に頭を抱えてしまうケースもあるでしょう。
EC物流の課題に対して、物流代行を利用するメリット・デメリットについては、以下の記事で解説しています。
「発送代行を利用するメリットとデメリット|業者選びのポイントを紹介」
【事例】EC物流代行で解決できた問題点

EC物流代行を利用したことで、課題解決できた事例を3つ紹介します。
発送が間に合わない、ミスが多い
出荷を2~3人のスタッフで担当し、300件/日の出荷件数が限界だったというアパレルブランド「KEBOZ」。新商品の販売開始時に予想を上回る4,000件の注文があり、5日以内のお届けを目標としていたところ10日ほどかかってしまい、さらには誤出荷も発生してしまう事態に見舞われました。
そこで、自社ECに使用していたShopifyと在庫管理システムの「ロジクラ」をAPI連携。リアルタイムで注文を取り込み、さらにフルフィルメントサービスと連携することで、自動化に取り組みました。結果として、4,000件/日の出荷を実現。出荷ミスを0にしたうえでリードタイムを1〜2日まで短縮できました。
詳細は以下の記事で紹介しています。
「Shopifyで構築した自社ECで販売。ロボット物流サービスの活用で1日4,000件の注文でも2日以内にお届けする体制を実現。出荷ミスはゼロに。」
商品の保管場所や人件費がかかりすぎている
複数のモールに出店しているB社では、1日に数百件の注文があり、受注管理スタッフ2名、出荷管理スタッフ7名がフルタイムで勤務していました。
EC物流代行を依頼したことで出荷管理スタッフは必要なくなり、受注管理スタッフも1名が半日程度作業することで今までと同じ注文数を処理できるようになったのです。8名分のリソースができ、商品開発や販促業務に人員を割けるようになったので、売り上げが伸びました。そんな売り上げが伸びるなかでも「発送のための人員が足りない」と困ることもありません。
C社では欠品対策のため多めに在庫を抱えており、倉庫費用がかかりすぎていました。EC物流代行を依頼することで適切な在庫管理ができるようになり、欠品を起こしにくくなったうえ、倉庫費用も抑えられコスト削減が可能になりました。
お客様から梱包について不満の声がある
小規模なショップでは梱包資材を複数取り揃えているといっても、十分ではない場合があります。ちょうど良いサイズの段ボールがなく、必要以上に大きな段ボールで梱包した際に、お客様から「過剰だ」という不満の声がありました。
EC物流代行に依頼したことで、さまざまな梱包資材から適したものを選べるようになったので、梱包に関するご意見はなくなりました。
EC物流代行導入のポイント!コストは高い?
EC物流代行のコストはサービス内容にもより変動しますが、1商品600円〜1000円程度です。EC物流代行の目安価格を見て「コストが高そう」と感じるかもしれませんが、以下の手順で現在かかっているコストと比較してみましょう。
代行していない状態でいくらかかっているか計算する
現在、物流に関わるコストがどれくらいなのか、計算してみます。
物流に関わるコストの例
- 配送費
- 梱包資材費
- 倉庫に関わる費用(場所代や温度管理など)
- 人件費
一見コストは把握しやすいように感じますが、セール時の増員などで人件費が流動的であったり、専任の人がいないために計算しにくい場合もあります。現状を正しく判断するためにもなるべく正確に計算してください。
また梱包資材費や配送費は、全体の取扱量が多い大規模な企業ほどそもそもの契約における単価設定が安くなります。EC物流では物量が少なく配送先が多いので、1件ずつで考えると小規模のネットショップでは資材費・配送費が高くつき、代行業者を利用した方が安くなるケースが多いのです。出荷1個あたりいくらほどかかっているのか、算出してみましょう。
EC物流代行業者の見積もりと比較
気になるEC物流代行業者に見積もりを依頼してみます。見積もりと、前項で計算した金額を比較します。
EC物流代行業者は固定費と変動費とを分けて計算する場合と、出荷1件あたりの完全従量課金制があります。固定費と変動費を分ける場合の項目は以下の通りです。
- 固定費……倉庫費、運用管理費
- 変動費……在庫管理費、出荷業務費、梱包資材費、配送費
業者によって費用名はさまざまです。固定費は倉庫の場所代とシステム運用費がかかります。変動費は取扱数にそれぞれの単価をかけて計算されます。出荷1個あたりの料金を比較するとよいでしょう。
見える費用以外にも注目
比較する際に注意したいのが、次のような項目です。
- 誤発送などミスに関わる損失
- 商品開発や販促企画ができないことで起きる販売機会の損失
物流業務を自社で行っているなかでミスが起きることで、損失が出ている可能性もあります。特に小規模のショップでは1つのミスがおこることで、全体の業務にも大きく支障が出てくることもあるでしょう。単なるミスだけでなく、一つの業務ミスがクレームや悪い口コミにもつながりかねない為、経営リスクにも繋がりかねません。
また、「物流業務がなければ、もっと販売できるのに」と感じることがあるのなら、販売機会を損失している可能性が高いです。見積もりを出すのと同時に、現在の物流業務を外部に委託した際に、どのリソースでどのようなことが出来るようになるか考えてみるのがよいでしょう。
コスト以外の業者の選び方は以下の記事で詳しく解説しています。
「物流アウトソーシングとは?基本から選び方のポイントまで【物流現場のプロが語る】」
人気のカートShopify/BASEにおすすめのEC物流代行
最後に人気のカート機能ShopifyとBASEを利用している事業者におすすめのEC物流代行を紹介しましょう。
【BASEにおすすめのEC物流代行】EZLOGI(イージーロジ)
EZLOGI(イージーロジ)はBASEと連携可能な物流代行サービスです。海外発送も可能な点が大きな特徴です。初期費用は完全無料で従量課金制のため、利用も安心。副業でEC運営をされている方やハンドメイド作家のような個人のお客様も歓迎と謳っています。送料は全国一律料金で60サイズ660円〜と導入しやすいサービスです。
EC物流代行を検討するためにまずは見積もりを
ネットショップには特有の物流課題があります。解決する為にはその課題を理解し、共に改善することができるEC物流代行業社を選ぶことが大切です。自社の課題を洗い出し、今まで以上にお客様に満足していただける配送ができるようにしましょう。
出荷ミスや急激な出荷数の増加によってリードタイムの遅れが出ている場合には、ぜひEC物流代行を検討するために見積もりを取ってみてください。スピーディーな発送代行を選び、業務の効率化・無駄なコスト削減を進めましょう。

売れ筋商品にフルフィルメントを活用した物流戦略を!(ABC分析)
アフターコロナを見据え、売れ筋商品・ロングテール商品の分析手法、ABC分析の説明と、実際にどのように倉庫とフルフィルメント・センターを並行活用していくのか、その運用の仕組みを徹底解説致します!