入庫とは?入荷との違いと手順、重要性や効率化の方法まで解説

物流における「入庫」とは、入荷した商品を倉庫の保管場所に入れることを意味します。入り口となる入庫の工程でミスが発生すると、以降の作業に多大な影響を与えてしまいます。

 

今回は、在庫管理の要ともいえる「入庫」について、詳しい意味となぜ最重要業務に値するかという点、改善や効率化の方法について解説します。

 

物流における入庫とは?入庫の工程

最初に、物流における「入庫」の意味について詳しく見ていきましょう。

 

入庫とは|荷受けした商品を棚入れするまでの工程

入庫とは、荷受けした商品を、所定の置き場所(ロケーション)に納める工程を意味します。保管とともに、在庫データを在庫管理システムやExcelに計上する作業も含まれ、「棚入れ」と呼ばれることもあります。

 

入庫の手順

荷受け業務をしたあと、入庫作業は以下の手順で行われることが一般的です。

 

1.伝票と照合

まずは商品が正しく入荷されたか、伝票と現品の商品コード・明細・数量を照合します。

 

2.入庫検品

破損やダメージを確認し、商品の品質が基準値以上を保っているか検品作業も必要です。万が一、異常があった場合は商品を撮影し、出荷元に連絡しなければなりません。責任の所在を明確にするための重要な工程です。

 

3.倉庫へ格納

倉庫内のパレットや棚に商品を格納します。どこに格納すればよいのか、事前に確認する必要があります。

 

4.入庫データを在庫管理表に記録

入庫日・商品コード・明細・数量を在庫管理システムまたはExcelなどに入力します。新規商品の場合は、商品情報の登録も同時に行います。

 

在庫管理表の作り方は「在庫管理表のテンプレート・作り方をご紹介。エクセル在庫管理のメリットとは?」の記事で解説しています。

 

 

「入庫」と混同しやすい「入荷」「出庫」との違い

「入庫」には、「入荷」や「出庫」といった似たような言葉が存在します。誤用しないよう、言葉の違いを明確に知っておきましょう。

 

「入庫」と「入荷」の違い

「入庫」と似た言葉として「入荷」があります。「入庫」が、商品を保管場所に入れるまでの工程を指すのに対し、「入荷」は、倉庫に届いた商品を受け取ることを意味する違いがあります。つまり作業の順番としては、入荷処理が終わった在庫に対して入庫作業をします。

 

「入庫」と「出庫」の違い

「入庫」と「出庫」の言葉も似ていますが、対義語の関係にあたります。「出庫」とは、倉庫内の商品を取り出し、外に出すことを意味します。つまり入庫と出庫には、倉庫に「入れるか」「出すか」の違いがあります。

 

入庫が重要な3つの理由

次に、入庫の工程が倉庫業務で最重要になる理由について解説します。主に3つの理由があります。

 

【理由1】入庫段階で在庫管理の正確性が決まる

物流の在庫管理は入庫から始まります。 入り口で発生したミスは、以降そのまま反映され在庫管理に悪影響を与えます。

 

棚卸し時に、実在しない在庫を探し回ったり、現品がないのに注文を受けてしまったりといった問題を誘発するでしょう。入庫作業に在庫管理の精度がかかっているため、倉庫業務の中でも最重要であるといえます。

 

【理由2】入庫が誤出荷の鍵を握る

入庫時に「入荷された商品名と入荷データの間違いを見逃してしまう」「ロケーションの格納を間違う」といった些細なヒューマンエラーでも、誤出荷という取り返しのつかないミスにつながる恐れがあります。お客様の信頼を失い、現場の作業効率をも下げてしまう誤出荷は、何があっても避けなければいけないミスでしょう。

 

【理由3】出荷の品質を向上させる

入庫は、出荷作業にも影響を与えます。入庫時に、イレギュラーな事態(商品の破損やデータと実在庫の数量違いなど)を発見できれば、早期に対応ができ、リカバリーできますよね。結果、欠品などの問題を回避し、スムーズかつスピーディな出荷が可能になり出荷作業の品質を上げることになるのです。

 

 

入庫作業で生じやすいミス4つ保管棚

ミスの発生原因の多くは「ヒューマンエラー」に起因します。当然ですが、人力に頼っている物流の現場では、特にミスが多くなります。入庫作業で生じやすいミスを起こさないよう意識しなければなりません。

 

1.数量のカウント間違い

数量のカウント間違いは多くの場合「思い込み」により発生します。入荷予定と納品書の数量、現物の数量は基本的に一致するはずです。そのため数量検品に慣れが生じると「間違っているはずがない」という思い込みから、流れ作業で間違いを見落としてしまう可能性があります。

 

2.データの入力間違い

データの入力間違いで起こりやすいのは、文字列の打ち間違いや重複して入力してしまうミスです。納品書や伝票は何行にもわたって、小さい文字列で商品情報が書かれている場合もあります。それらを頼りに目視でデータ入力をすれば、100%ヒューマンエラーを防ぐのは困難であるため、チェック機能を厳重にしなければなりません。

 

3.保管場所の格納間違い

よく似た商品を誤って同じ場所に格納してしまうことも、入庫時に起こりやすいミスでしょう。また、同じ商品が分納される際に、あちらこちらに保管してしまうのも、在庫管理がしづらくなる原因です。これまで同じ商品が入庫した履歴はあるのか、あるならばどこに格納されているのかを意識しなければなりません。

 

格納場所を適切に管理するためにはロケーション管理が必須です。「在庫管理の精度を上げるコツ「ロケーション管理」とは?2種類の管理の方法を徹底比較!」の記事で詳しく解説しています。

 

4.現品とデータの不一致

そもそも伝票と現品の商品コードが違うといった事象も起こりえます。商品名のみで伝票と現品の照合をしてしまった場合、不一致に気づかず在庫管理がうまくいかなくなるでしょう。属人化により、ミスが長く見落とされていると、担当交代の際に大きな問題になります。

 

 

オペレーションで入庫を効率化する方法

では入庫を効率的に行うにはどのような方法があるのでしょうか。

 

現場・保管棚の整理整頓する

整理整頓は倉庫作業の基本です。入庫の際にも必要な道具や運搬機器などが、誰にでもわかる場所にあり、手に取りやすい状態であることが効率化を促進します。 サイズや色違いといった間違えやすい商品の保管場所を、わかりやすく区別する工夫も整理整頓の一環です。色のラベルや仕切り・看板を作成し、活用しましょう。

 

在庫管理の基本「先入れ先出し」をするためにも、整理整頓された環境でなければなりません。「先入れ先出しとは?在庫管理におけるメリット・デメリットを徹底解説!」では入庫からの管理手順をわかりやすく解説しています。

 

作業動線を適正化する

作業動線の適正化も入庫を効率的に行うために必須です。入荷→検品→入庫の流れができるよう作業動線を整えます。 またスムーズに作業するための道幅の確保にも気を配りましょう。

 

入庫頻度を加味したロケーション管理をする

入庫頻度を加味したロケーションの設定も効率化に重要な要素です。定番商品で入出庫が多く、回転率の良いものは倉庫の出入り口側に配置しましょう。倉庫内では「歩かない」工夫の積み重ねが、効率化ひいてはコストの削減に繋がります。

 

 

ツール・サービスを活用して入庫を正確に行う方法入庫検品

ここまで紹介した効率化の方法は、いかに無駄をなくすかに着目した対策であり、ヒューマンエラーや属人的作業を改善するものではありません。入庫による在庫差異を防ぎ、さらに作業の効率化を叶えるためには在庫管理に特化したツールの導入が効果的です。

 

ハンディターミナル、バーコード照会

物流現場で効率化に使われる代表的なツールとして「ハンディターミナル」が挙げられます。片手で操作可能なハンディサイズのデータ収集端末です。バーコードを読み取るだけで、データの照合をしながら入庫検品が可能。 「なに」が「いつ」入ってきて、「どこ」に「どれくらい」あるか、などの在庫管理機能が搭載されています。目視やベテランスタッフの勘に頼ることなく、慣れないフタッフでも作業が進められるため、重宝します。

 

在庫管理アプリ

他にも、今注目されているのが「在庫管理アプリ」です。 ハンディターミナルの代わりにスマートフォンを使って、入庫・出荷情報を正確に登録・管理できます。現場で起こりがちな人為的なミスの予防に有効です。また、わかりやすさや操作性の簡単さにも工夫がされているものが多く、導入の心理的ハードルが低いため、誰でもすぐに使えて作業効率の点においても魅力的といえます。 使い慣れたスマートフォンで作業ができること、ハンディのようにハードウェア導入費用が高額にならないことも、在庫管理「アプリ」のメリットです。

在庫管理アプリの選び方とおすすめ【現場が語る】

 

物流アウトソーシング

入庫だけでなく、物流機能そのものをアウトソーシングしてしまうのも、ひとつの手です。物流を管理する環境が整った中でプロに任せることにより、品質の向上はもちろんのこと、ムリやムダが減りコスト削減が叶う例は珍しくありません。 EC市場の拡大により、安価なサービスも増えてきています。

 

物流アウトソーシングとは?基本から選び方のポイントまで【物流現場のプロが語る】」の記事で詳しく解説していますので、読んでみてくださいね。

 

 

EC・通販事業者の入庫作業の改善事例

ここで入庫作業の改善事例を紹介しましょう。 電子タバコや生活雑貨の販売を行う株式会社サンエスラインでは、新商品の入荷が多く、SKU数は3,000点ほど。Excelで入庫登録や在庫管理を行っていました。しかし入力中にフリーズしたり、在庫ズレが発生したり、負担を感じていたそうです。 課題解決に向けて在庫管理アプリを導入したところ、Excelの入力作業から解放され、作業がスムーズに。ハンディーターミナルの代わりにiPhoneを活用し、1回の入庫に3〜4日かかっていたかかっていた検品時間も30分〜1時間に短縮できたといいます。

 

当事例の詳細は以下の記事で紹介しています。 「RSL・FBA納品、自社EC出荷のオムニチャネル業務でロジクラは欠かせない存在。300SKU/1,000点の大規模入荷もミスなしで!

 

 

正確な入庫・在庫管理を行う3つのメリット

ここまで入庫作業の効率化に焦点を当ててきましたが、物流の流れ全体を見れば、早さを競うよりも「正確な入庫」こそが一番の効率化に繋がります。なぜなら「正確な入庫作業」=「正確な在庫管理」だからです。最後に、正確な在庫管理がもたらすメリットについて確認しておきましょう。

 

【メリット1】生産性の向上

物流の成果において、在庫管理がキーポイントとなります。在庫を正確に把握できているということは、現場での作業効率が上がることによる生産性の向上、さらには利益アップにも繋がっていきます。

 

【メリット2】クオリティの向上

在庫を正しく管理することは、商品(在庫)の品質担保にも貢献します。例えば、賞味期限があるものは、保存の仕方による影響をうけるといえるでしょう。入荷日・数量・格納場所等の在庫情報をきちんと把握できていれば、商品を劣化させることなく、鮮度を保った状態で出荷できるメリットがあります。

 

【メリット3】顧客満足度の向上

正しい在庫管理を徹底していれば、誤出荷や欠品等、お客様にとってのトラブルを事前に防げるのもメリットです。 注文した商品がスムーズにスピーディーに問題なく手元に届くという体験は、安心感並びに信頼感に繋がり顧客満足度向上に直結するといえるでしょう。

 

 

入庫を制するものは、物流を制す入庫

物流業務において在庫をどのように管理するかは大きな課題です。 在庫管理がうまくいくかどうかは、入庫作業にかかっていることをご理解いただけたかと思います。入庫の効率化にはいくつか方法がありますが、人的ミスは、システム化・ツールの導入で大幅に予防できる点もお話ししてきました。

 

弊社ロジクラが提供する在庫管理アプリ「ロジクラ」は、アプリ/WEB両方でアクセス可能な在庫管理システムです。 簡単・わかりやすい・ミス予防に役立つ点が評価され、多くの企業様に利用頂いています。 

 

入庫作業時に活躍する機能を搭載。アプリを利用した入庫、バーコードによる検品も可能となっております。 現場に潜む問題点を徹底的に掘り下げ開発されているからこそ、物流現場でリアルに重宝すること確実です。 実際の使い勝手を確認しつつ在庫管理の仕方を今一度検討してみてはいかがでしょうか。 在庫管理の要ともいえる「入庫」工程を制するものは、物流を制します。在庫管理に特化したシステムの導入により改善していくことをおすすめします。

 

 

ロジクラ概要資料

ロジクラの基本機能に関する概要資料です。特徴、主な機能、API連携、導入事例、導入までの流れなどをまとめています。

ロジクラは物流・発送作業のDXをサポートするSaaSソフトウェアです。自社倉庫や3PLのお客様には在庫管理ソフトウェア「ロジクラ」を、物流アウトソーシングをお求めの方へは物流代行サービスをご提供しております。こちらの資料では、ロジクラを導入される前のお客様の課題や、導入後の効果、ロジクラを使ったフロー図や導入事例等をまとめています。

是非ともダウンロードしご覧ください。