リードタイムの意味とは?納期との違いや数え方、短縮方法5つ【物流視点】

ビジネスの中で「リードタイム」という言葉を耳にする機会がある人は多いでしょう。特に製造業や物流業、ITに携わるのであれば理解必須の基本的な用語です。またリードタイムを短縮すれば、顧客満足度が向上し、売上がアップする可能性も秘めています。



当記事ではリードタイムの意味や種類、物流における短縮の方法をわかりやすく解説します。基本の意味から理解し、業務改善に役立ててください。

 

リードタイムとは

リードタイム

まずは「リードタイム」の言葉の意味や使い方を確認しましょう。​

意味と英語表記

「リードタイム」とは、商品を発注してから納品されるまでの時間や日数を意味する言葉です。英語では「lead time」表記し、「L/T」と略すこともあります。

 

納期との違い

似たような言葉で「納期」があります。「リードタイム」が期間を示すのに対し、「納期」は納品期限日を指していて具体的な日付で示します。

 例えば、ECサイトで記載では以下のようになります。

リードタイムと納期における記載の違い

リードタイム−「10日程度で発送」

納期    −「3月3日までに発送」

リードタイムの数え方

 リードタイムの数え方は一般的に発注当日を起点として、翌日を「リードタイム1日」、翌々日を「リードタイム2日」と数えます。条件に「土日祝日を除く営業稼働日」などと示されていて、金曜日に発注した場合の「リードタイム1日」は月曜日の納品です。

 

ただし配送リードタイムによくある表現で「中2日」という場合には「中日を2日要する」意味を指し、月曜日に発注すれば木曜日に届くことになるので注意しましょう。

 

 

リードタイムの種類

リードタイムは工程ごとに細分化する考え方もあります。呼び方もさまざまありますが、ここでは主な4つを紹介しましょう。

 

開発リードタイム

開発リードタイムとは、製品を開発するために企画・立案をし、開発に着手するまでの期間を指します。資材の選定、調達先、生産する工場などを決める期間も含みます。

 

調達リードタイム

調達リードタイムとは、製品の生産に必要な部品や原材料を発注してから工場などの現場に届くまでの期間です。購入元の生産リードタイムや配送リードタイムに左右されます。

 

製造(生産)リードタイム

製造リードタイムとは、製品の生産指示を受けてから完成するまでの期間を指します。待ち時間や不良品の作り直しにかかる時間も含みます。

 

配送リードタイム

配送リードタイムとは、製品の注文を受けてから納品にかかる期間を指します。出荷元から納品先までの距離や配送方法に影響を受けます。

 

 

物流のリードタイム短縮のメリット

リードタイムの短縮はあらゆるビジネスにおいて重要です。ここでは特に物流のリードタイムを短縮するメリットを具体的に紹介します。

 

メリット1.お客様へのアピール力アップ

リードタイムの短縮はお客様へ好印象を与えます。ネット通販やECサイトの利用が一般的になり、家にいながらにして買い物できるようになりました。そして、お客様の中に「実店舗に行く時間はないけれど、なるべく早く欲しい」というニーズが生まれたのです。

 

EC事業者は他社との差別化を図るため、お客様の希望に対応し、「当日発送」や「最短当日お届け」というサービスを提供するようになりました。リードタイム短縮によるお客様へのアピール力は、価格競争を上回る場合もあります。一般的に同じ商品であれば、価格の安い方が消費者に好まれます。しかし、「早く届くのなら、少し高くても購入したい」と考えるお客様もいるのです。

 

EC事業者にとってリードタイムを短縮することは他者との競争力を保つことであるため、重要だと言えます。

 

 

メリット2.商品管理コストの削減

「商品を入荷して注文が入ったら出荷する」物流のサイクルを考えるとリードタイムが短ければ商品管理コストが削減できます。

 

もし、倉庫内で商品を長期間保管した場合、以下のようなリスクがあります。

  • 倉庫費がかさむ
  • 商品劣化のため、販売できない
  • キャッシュフローの悪化

欠品を恐れて過剰在庫を抱えている場合、必要以上の倉庫費がかかってしまいます。また、商品を劣化させないための商品管理も必要ですし、劣化して商品として販売できない可能性もあります。収益率をアップさせるにもリードタイムの短縮は大切です。

 

また、リードタイムが長いと、倉庫内に資産としての商品はあるものの会社には現金がない状態で、キャッシュフローが悪化しています。改善し、なるべく早期に現金化できるようなシステムにすることで、良い状態で会社を運営できます。

 

物流コストについては「物流コストとは?内訳や推移・高騰に対応する削減方法まで完全解説」の記事をご参考ください。

 

メリット3.市場の変化に柔軟に対応できる

リードタイムを短縮すれば、予測できない市場の変化にも柔軟に対応できます。急な需要の増加に短納期でいち早く対応できれば、販売機会が増え、売上アップが可能です。反対に需要が落ちてしまったときにも、過剰に供給することなく在庫ロスを極力防げます。

 

 

定量発注や定期発注を適切に行えば、リードタイムの短縮にも繋がります。
定量発注方式とは?定期発注方式との違いや計算式まで解説!

 

 

物流のリードタイムを短縮するリスク​

物流のリードタイムは短ければ短いほどいいように感じますが、リスクもあります。

 

品質の低下​

ミスが増えたり作業が雑になったりと配送の品質が低下してしまう可能性があります。

 

物流のリードタイムを短縮するために作業フローを見直し、誤って必要だった工程を削った場合に起こりえる事象です。また策もなくリードタイムの目標を短くすれば、気の焦りからのミスも招きかねません。工程が変わっても、お客様へ届ける商品の品質は変わらないよう考慮しましょう。

 

 

小ロットの商品は欠品のリスク

小ロット生産の商品においては、リードタイムの短縮が欠品のリスクにつながります。在庫はなるべく少ない方が良いですが、トラブルなどがあって生産できなくなってしまった場合、在庫だけでは生産停止している期間の需要をまかないきれない可能性があるのです。

 

生産停止の理由としては取引先のトラブルのほかに、災害などのやむをえない事情の場合もあります。近年は豪雨災害などが増えており、被害を受けて業務が滞ってしまうことも珍しくありません。リードタイムを優先するため在庫を減らし欠品のリスクをとるのか、災害などがあっても欠品を起こさないような在庫数を確保しておくのかは、各企業とも判断が難しいところです。

 

 

物流のリードタイムを短縮する方法​

時間

物流のリードタイムを短縮する方法はさまざまあります。主な方法は以下の通りです

  • 人員を増やす
  • 工程を見直す
  • ミスを減らす
  • 取引先を見直す
  • 機械化・自動化

詳しく解説していきます。

 

短縮する方法1.人員を増やす

作業量が多過ぎてリードタイムが長くなっているのなら、人員を増やすことでリードタイムの短縮が可能です。ただし作業可能量が増える一方で、人件費がかかってしまいます。一時的に人員を増やし対応をした後で、別の方法でリードタイムを短縮させましょう。

 

短縮する方法2.工程を見直す

無駄な工程を省いたり、工程を効率化できる点がないか見直します。長い期間、工程の見直しが行われていなければ、道具やシステムの性能がアップロードし、不要な工程が発生しているケースも考えられます。

 

そもそもルールが曖昧な場合には、手順やルールを明確にマニュアル化し、徹底するだけでもリードタイムを短縮できるでしょう。

 

短縮する方法3.ミスを削減する

ミスが多くリードタイムが長くなってしまっている場合は、ミスを削減する工夫が大切です。特定の工程でミスが多いのなら、その工程のフローに問題がある可能性があります。例えば、

  • 棚の配置がわかりにくい
  • 判別しにくいピッキングリストを使っている

などです。

ミスを減らすためにダブルチェックをする方法もありますが、リードタイムの短縮の観点では工数を増やすことになります。改善の効果も考慮しながら、方法を考えましょう。

 

短縮する方法4.取引先の見直し

取引先の見直しもリードタイムの短縮に重要です。リードタイムを全体でみたときに、自社ですべてをまかなっている会社は少ないでしょう。

リードタイムに関係する取引先例
  • 調達リードタイムに関わる原材料・部品の調達元
  • 製造リードタイムに関わる人材派遣会社
  • 配送リードタイムに関わる運送会社

品質を損ねることなく、早さにも対応できる取引先の選定を定期的に行いましょう。

 

短縮する方法5.機械化および自動化 

物流を機械化・自動化するとリードタイムの短縮が可能です。機械化・自動化の例としては以下のようなものがあります。

 

物流の機械化・自動化の例
  • 倉庫管理システム
  • 在庫管理システム
  • ハンディターミナル等を使ったピッキングシステム
  • 自動搬送ロボット

    今まで人が行っていた工程を、機械化・自動化することで作業時間を削減できるだけでなくミスも減ります。物流に関する業務効率化も進められ、効果が大きいです。

     

    機械化・自動化にあたっては、導入コストがかかる点がデメリットとなります。しかし、導入することで物流にかかる人件費を削減できるため、長い目で見るとメリットの方が大きい場合が多いです。

     

     

    在庫管理システム(WMS)の詳しいメリットについてはこちらで紹介しております。

    在庫管理とは〜WMS(在庫管理システム)を導入するメリット〜

     

     

    物流を外注することでリードタイムの短縮が可能​

    物流の機械化や自動化を検討しているけれど、なかなか自社だけでの対応が難しい場合は、物流を外注してリードタイムを短縮する方法もおすすめです。プロに外注することでミスが減り、配送の品質が今よりも高い水準で安定する可能性があるなど、リードタイムの短縮以外のメリットもあります。また、今まで物流を担当していた人材リソースを他の業務で生かすことで、収益アップも目指せるのです。

     

    物流の外注の方法には、自社が課題を抱えている工程だけを委託する方法や物流業務の全部を外注するフルフィルメントなどがあり、企業ごとに合ったサービスを選び使えます。

     

    ロジクラでは在庫管理サービスのロジクラだけでなく、ロジクラと佐川グローバルロジスティクスとの共同サービス「XTORM(エクストーム)」というフルフィルメントサービスを提供しています。

    配送センターとの直結で、最短当日午前のお届けを実現することができ、リードタイムの短縮にも大いに役立ちます。お客様に少しでも商品を早く届け、より満足度を上げたいという方にお勧めです。

     

     

    XTORM(エクストーム)の詳細はこちらをご覧ください。

    固定費ゼロ・従量課金で利用できるフルフィルメントサービス|XTORM

     

    リードタイム競争に勝つために短縮は必須!

    物流のリードタイムとは、商品を発注してから納品するまでの時間を指します。リードタイムを短縮することでお客様へのアピール力が増し、商品管理コストの削減が可能になります。

     

    物流リードタイムの削減方法としては人員の増加や工程の見直しなどがありますが、業務効率化が期待できることから考えても機械化や自動化がおすすめです。自社のみで機械化・自動化の対応が難しければ外注することを検討してみてはどうでしょうか。

     

    ロジクラと佐川グローバルロジスティクスとが共同で提供しているサービス、XTORMはEC事業者が使いやすいよう工夫を施したフルフィルメントサービスです。受注管理システムと連携することで24時間365日自動出荷が可能で、最短で当日午前中にお客様のもとに届けられます。リードタイムが短く、お客様の「すぐ欲しい」というニーズに対応可能です。

     

    導入の際にはコストがネックとなることも多いですが、XTORMは初期費用は不要で完全従量課金制です。さらに、作業が急増した際も対応可能なので、繁忙期にはリードタイムが長くなってしまうという課題を感じていた企業にもおすすめです。

     

     

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