
発注点とは?発注点・発注量の決め方と在庫管理効率化のすすめ
在庫を適切な量・場所・時に適切に供給し維持するのが在庫管理。その在庫管理の要となるのが「発注」です。在庫管理担当者の中には、発注が適切に行われず、在庫不足・在庫過剰になり散々な目にあった…という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そもそも発注とは、そして適切な発注を行うために大事な発注点について解説していきます。在庫管理担当者の方は必見です!
目次
在庫管理と発注業務の関係は?
まず、在庫管理と発注業務の関係を見ていきましょう。
はじめに在庫とは、小売業であれば「商品」、製造業であれば「部品、原材料、仕掛品、完成品」といった、「これからお金に代わるもの」が「在庫」と呼ばれます。この「お金に代わるもの」を適切な量・場所・時に適切に供給・維持することが「在庫管理」であり、在庫が減ってきたら仕入先に対し注文手続きをすることが「発注」です。発注は量とタイミングが在庫管理においてとても重要となります。発注に対し想定していたよりもお客様からの注文数が少なかった場合は、残りが過剰在庫となり会社のキャッシュフローを圧迫する存在にもなりうるからです。在庫を正しく管理し、適切な数の発注を行うことで、売上最大化を計ることができるのです。
主な発注方法は?
発注が在庫管理において大切だということを説明したところで、具体的な発注方法を見ていきましょう。主な発注方法は「定期発注方式」と「定量発注方式」の2つです。
定期発注方式
その名の通り、あらかじめ期間を決定し、一定期間ごとに発注をかける方法が「定期発注方式」です。例えば「毎月月初に発注を行う」などの形です。発注タイミングは統一し、発注量を変えることで在庫を管理します。
メリットとしては発注タイミングが決まっているため、発注・支払等の業務を効率化することができます。
デメリットとしては、過去の需要量や生産量からどのくらいの期間でどのくらいの量を発注したらよいのか導き出す必要があり、この過去データの分析結果によって、毎回の発注数が変動してしまい、過剰在庫や在庫不足のリスクがあることです。
定量発注方式(発注点方式)
在庫がある一定量以下になったら発注する方式が「定量発注方式」です。発注するタイミングではなく、在庫数を軸にする考え方ですね。どのくらいの在庫量となったら発注するか、定めておく必要があります。これを発注点といいます。(発注点については後述します!)
メリットとしては発注量を一定に保つことができるため、常に十分な在庫を確保することができます。
デメリットとしては、時期によって変動の大きな商品の場合、売れてしまい在庫量が少なくなってから発注しても、間に合いません。すぐに在庫切れとなってしまうため、そういった商材であれば常に多めの在庫を抱えるために発注点を高く設定する必要があり、売れない時期には過剰在庫となるリスクがあります。また、発注・支払時期が一定でないため業務効率化が難しいという点もあります。
発注点とは?
発注点とは、前述した定量発注方式を使う際に、「在庫がどのくらいの量になったら発注するか」という「発注タイミングの在庫の量」のことをいいます。この設定がきちんとされていないと、過剰在庫・在庫不足のリスクがあるのです。
発注点は以下の式で算出することができます。
【 発注点=1日の平均出荷量×調達期間+安全在庫 】
「1日の平均出荷量」に「調達期間」を掛けた数値は、仕入先に発注してから届くまでの期間に出荷される量を表します。ここを加味していないと、発注して届くまでに在庫が尽きてしまうことがあります。さらに余裕となる「安全在庫」もしっかりと計算することが大切です。発注点をギリギリの在庫量で設定してしまうと、在庫不足で販売機会を失う可能性もあります。
また、1日の平均出荷量は場合によって最大値や中央値を取っておいたほうが良いケースもあります。在庫の消費速度が大きい商品に関しては余裕を持って見積もることが大切です。
発注数・発注量の考え方は?
では、在庫が発注点の量を下回った場合、実際にどのくらいの量を発注すればよいのでしょうか。ここでは、いくつという個数ではなく、どのくらいの期間が適切かという日数で考えることがポイントです。
最新の出荷実績から1日の平均出荷量を算出し、1日の平均出荷量×上記の日数分+安全在庫で発注します。最初から決めてしまうのではなく、何度も日数を調整していくことでその商品に最適な日数が見つかります。そうしたら、その日数でシステム上も固定しましょう。
発注業務と在庫管理においてよくある課題
発注により在庫数に変動があった場合にはその数を正確に記録・管理しなければなりません。
しかし、どんな業務でも人の手を介している場合、ミスは生じます。例えば、仕入先に5個注文したのに4個しか届いていない、しかしデータ上では5個届いたことになっている。このズレにより、もしお客様から5個注文が入った場合に、データ上では5個の在庫があるため販売してしまったけれど、実際には1個存在しないという状況になります。そうして欠品となってしまうと会社の信用にも関わってくるのです。発注内容と届いた内容が違う場合は、すぐに在庫データの修正と追加発注などの対応が必要となります。
このような在庫数のずれは、上記の欠品だけではなく、「不良品」・「返品」の場合にも起こりえます。数はたしかに足りているけれど実際には使えない商品がある場合、その分を在庫から差し引かなければなりません。返品の場合は在庫データだけでなく出荷データも修正しなければならないでしょう。
このように様々なパターンが考えられるため、ミス防止のためにも、在庫管理では在庫を正確にカウントし、かつリアルタイムで複数人が同時に確認できるように整えることが望ましいのです。
在庫管理システム(WMS)のすすめ
発注業務は在庫管理においてとても大切な業務です。エクセルなどで在庫管理をしていると、前述した在庫数の変動の際にリアルタイム・複数人での確認が難しいのではないでしょうか。発注点の設定や在庫管理を効率よく行うためには、在庫管理システム、またWMS(Warehouse Management System)と呼ばれる倉庫管理システムを有効活用することをおすすめします。
すでに10,000社に導入されている在庫管理システム「ロジクラ」では、商品マスタで発注点を登録でき、複数人・複数拠点の在庫管理を一元化することができます。iPhoneのアプリで在庫確認することが可能なため、外出先でもすぐに対応できます。もちろん、拠点ごとに発注点は設定可能。そしてなんと無料です。適切な発注業務で無駄のない在庫管理を行い、売上最大化を目指していきましょう!